石原センセイのきっちりおさえるニュースのツボ
4月12日

ただの資金集めだけじゃない、クラウドファンディング

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イシハラ

ニッキィさん、こんにちは。今日は知りたいことがあるそうですね。

ニッキィ

イシハラさん、こんにちは。先日、アンコールワットの修復資金を「クラウドファンディング」という仕組みを使って集めているという話を聞きました。

イシハラ

アンコールワットは、ユネスコの世界遺産に登録されている、カンボジアの寺院や建築物など遺跡群の一つですね。

ニッキィ

はい。以前、見学ツアーに参加して魅了されました。個人から修復資金を集めていると聞いて、私でも寄付できるかなと思って。そこで今回は、クラウドファンディングについて詳しく知りたいんです。

◎クラウド(群衆)からファンディング(資金集め)

イシハラ

クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人から出資を募る仕組みで、現在多く活用されているのが様々なプロジェクトの実行やものづくりなどです。その目的に賛同した個人が小額から出資できるのが特徴で、一口1000円から支援できるものもありますよ。

ニッキィ

一口1000円なら、気軽にできますね。

イシハラ

日本でクラウドファンディングが急速に広まったのは、2011年の東日本大震災後からだといわれています。

ニッキィ

被災地の復興支援ですね。

◎融資や投資と違った魅力

イシハラ

クラウドファンディングが復興支援で注目を集める前は、音楽ビジネスや映画製作の資金集めの手段として多く活用されていました。ですから、今でも創作活動を支援するツールというイメージが強いかもしれません。その頃から変わらないのは、カギは「共感」や「ストーリー」だということ。ここが通常の融資や株式投資との違いです。

ニッキィ

「共感」「ストーリー」だなんて、何だかワクワクしますね。

イシハラ

銀行融資や株式投資は、貸し手や投資家から見て「リターンが得られる事業かどうか」が最も重要です。原則として、収益に結びつかないような事業には資金を出しません。資金を出した後も経営状態をチェックし続けます。

ニッキィ

お堅いですね。

イシハラ

金融ビジネスの観点では当然のことです。出したお金が返って来ないのはもってのほか。より高い見返りを、可能な限り確実に得るのが目的ですから。

◎「共感」や「ストーリー」が大事

ニッキィ

一方、「共感」「ストーリー」がカギとは?

イシハラ

クラウドファンディングを活用するプロジェクトでは、それを実現したい理由や実行者の思いに共感できるかどうかで支援者は出資を判断します。そしてお金ではなく、そのプロジェクトでなければ手に入れることができないモノやサービス、体験などのリターンを期待します。

ニッキィ

プロジェクトへのこだわりや思いが支援者の共感を呼ぶんですね。

イシハラ

とがったアイデアほど支援が集まる傾向が強いことが分かってきたので、面白い活用方法が続々と登場しています。

ニッキィ

例えば?

イシハラ

SMAPの解散にあわせて多くのファンがメッセージを新聞広告として掲載したプロジェクトはクラウドファンディングで実現したんですよ。泉谷しげるさんが発起人となり開催した「阿蘇ロックフェスティバル2015」、アニメーション映画「この世界の片隅に」の製作、大阪天満宮(大阪市)の「天神祭」での奉納花火の打ち上げ、A4サイズで持ち運びができるスピーカー付きDJシステムの商品化など、数多くの事例があります。支援者にとっては完成した商品の先行購入などの特典や、映画ならエンドロールに名前が記載されるといった特別な体験が得られるのも魅力です。

ニッキィ

様々なアイデアの実現にクラウドファンディングが使われているのですね。

イシハラ

その通りです。中小企業やスタートアップだけでなく、大企業が新製品を開発する際に活用する例もあるようです。大量生産・大量販売が当たり前だった大企業の商品戦略は、消費の多様化などを背景に曲がり角にきています。テストマーケティングの目的で開発段階の商品をクラウドファンディングで世に送り出すのです。

ニッキィ

確かに、大量に生産した後に消費者から見向きもされなかったら大失敗につながりますね。支援者の声で消費者の希望をくみ取ることができるのですね。

イシハラ

そうです。プロジェクトの実行者と支援者がコミュニケーションを取れるのがクラウドファンディングの特徴です。プロジェクト実行者が開発中の商品やサービスへの思いを語り、SNSなどを駆使して支援者を募ります。質問や応援メッセージをどんどん受け付けて、双方向でやり取りしていきます。

ニッキィ

支援する側もプロジェクトの成功を願い、積極的に意見を出したり情報を拡散したりして、一緒にプロジェクトを盛り上げていく感じ・・・・・・分かります!

イシハラ

支援者が増えればPRにもつながります。クラウドファンディングの普及で、消費者のニーズに寄り添った商品やサービスの誕生が期待できるのではないでしょうか。

◎クラウドファンディングの概要

ニッキィ

支援するって、とてもワクワクすることなんですね。アンコールワットだけでなく、共感できるプロジェクトがあったら支援したくなりました。

イシハラ

では、クラウドファンディングの概要をまとめておきましょう。

ニッキィ

はい、お願いします。

イシハラ

クラウドファンディングのタイプには、主に「購入型」「寄付型」「金融型」があります。ここまで話してきたプロジェクト実行などを目的としたものが「購入型」で、支援者はモノやサービス、権利などが得られます。購入型は起業にも活用されやすく、中小企業とタイアップしてクラウドファンディングを促進する自治体も増えています。「寄付型」はその名の通り、支援者に見返りはありません。一方で金銭的なリターンを得られる「金融型」もあり、支援額は拡大しています。矢野経済研究所のレポートによれば、2017年度の国内クラウドファンディング市場の規模は前年度比46%増加の1090億円となる見込みです。

ニッキィ

予定額まで資金を集められないケースもあるのですか?

イシハラ

はい。プロジェクトを起案したものの、予定した支援額に達しないこともあります。この場合にはプロジェクトが実行されず支援金が返金されるケースと、目標額に達しなくてもプロジェクトが実行されるケースとがあります。支援する場合は、タイプを必ず確認しましょう。

ニッキィ

やみくもに支援するのではなく、自分が本当に共感できるプロジェクトに出合った時に、心から応援したいと思う金額で支援するのが大事ですよね。インターネットで気軽に支援できるから、なおさら自己責任での判断も必要だし。今回はクラウドファンディングの仕組みがよく分かりました。ありがとうございました。

今月の金言 難易度2 ★★☆☆☆

金銭的なリターンよりも、共感や特別な体験がカギ

支援者とのコミュニケーションを密に取れば、マーケティングやPRに効果的

支援時はプロジェクトや商品の内容、タイプなどしっかり確認を

ファイナンシャル・プランニング・コーチ
石原敬子さん

大学卒業後、証券会社に入社。営業12年余の経験から、資産運用アドバイスを専門とするCFP&コーチ。コーチングを取り入れお金と行動の両面からコンサルティングを行う。