石原センセイのきっちりおさえるニュースのツボ
7月19日

現金を持たない生活? キャッシュレス化への道

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ニッキィ

こんにちは、イシハラさん。突然ですがお財布にいくら入っていますか?

イシハラ

えっ? お財布? あんまり入っていませんけど・・・・・・。

ニッキィ

ああ、すみません。先日、学生時代の友達で集まった時、「割り勘アプリ」 で精算しようってことになって。割り勘アプリを使うことで、現金のやり取りなしで個人間の精算ができることを初めて知りました。

イシハラ

なるほど。キャッシュレスですね。学生時代の飲み会では、幹事になると集金や精算が大変でしたけど、今は便利になりましたね。

ニッキィ

そうです、キャッシュレス!その場にいたメンバーは、キャッシュレス派と現金派が半々でした。私は現金払いがほとんどなので、少し勉強しなければと思って。

◎キャッシュレス決済のタイプ

イシハラ

そうだったのですね。政府も民間も、今、キャッシュレス化に力を入れています。ニッキィさんは現金派とのことですが、決済できるカード類は持っていますか?

ニッキィ

クレジットカードが2枚、定期券についている電子マネーが1枚ですね。

イシハラ

使っていなくても、他に持っていませんか? 例えば、スマホやお店の会員カードとか。

ニッキィ

スマホ? ああ、使っていませんがアプリで何かあったかも。そうそう、ポイント欲しさに作って、1度も使っていない年会費無料のクレジットカードもありますね。

イシハラ

ポイント! そう、貯めたポイントでお買い物ができたら、それもキャッシュレスの一種です。

ニッキィ

へえ、キャッシュレスと言ってもいろいろあるのですね。

イシハラ

では簡単にまとめておきましょう。キャッシュレス決済の分類としては、「形状」「決済のタイミング」で整理できます。

ニッキィ

「形状」は、カードとかスマホ(スマートフォン)ってことですね?

イシハラ

はい。そうです。カードは読み取り方式の違いで、黒い磁気ストライプのついた「磁気カード」と、ICチップ内蔵で安全性の高い「ICカード」があります。 またQRコードやバーコードを使って、スマホやガラケーでも決済できますね。

ニッキィ

それでは「決済のタイミング」って何ですか?

イシハラ

交通系や流通系の電子マネーは、事前にチャージをして使いますよね。プリペイドカードも、先にカードを購入してそこから支払う方式です。これが「前払い」です。

デビットカードは、お店で商品を購入した時にカードを使うと、預金口座の残高からリアルタイムに引き落とされて支払いが完了します。つまり「即時決済」です。

クレジットカードなどは、後日、預金口座などから引き落とされますので「後払い」です。

ニッキィ

なるほど。いつ口座からお金が引き落とされるかを理解して利用しなければなりませんね。前払い式だったら使いすぎの心配もなく利用できるかな。

◎じつは身の回りにキャッシュレス

イシハラ

では次にニッキィさん、銀行のキャッシュカードをよく 見ていただけますか?

ニッキィ

はい。銀行口座は3つありますが、キャッシュカードって、注意してみたことがなかったです。

イシハラ

「Jデビット」や「楽天Edy」のロゴマークが付いたカードがありますね。Jデビットは銀行口座から即時決済するデビットカードサービスで、楽天Edyはチャージして使う電子マネーサービスです。

ニッキィ

えっ? ただの銀行口座として使っていたのに、それ以上の機能がついていたんですか?

イシハラ

そうなんです。口座開設時に説明があったはずですが、その機能を使わなければ付帯されていることを忘れている方が少なくありませんね。このように、キャッシュレスサービスを利用できる状態になっているにもかかわらず、気づかない方は多いようです。

ニッキィ

新しいサービスに加入するのは面倒だと思っていましたけど、いつの間に!

イシハラ

日本人は、クレジットカード、デビットカード、電子マネーの合計枚数が総人口1人当たり7.7枚 で、シンガポールに次いで2位だそうですよ。これに対して、日本のキャッシュレス決済の利用率は決済全体の約2割。約9割の韓国、6割の中国と比べてかなり低いです(注1)。

ニッキィ

持っているけれど使っていない、ってことなんですね。

◎なぜ、どんどんキャッシュレスになっていく?

ニッキィ

でもイシハラさん、私は基本的に現金払いで、高額の買い物の時だけクレジットカードを使うという方法で特に不便を感じません。

イシハラ

日本で生活している個人にとってはそうかもしれませんね。日本が諸外国よりキャッシュレス化が遅れている理由は、日本独自の環境のためです。日本では「現金が安全で使いやすい」と思っている人が結構多いのです。清潔で高度な偽造防止が施された日本のお札、ATMの設置数の多さ、治安の良さなどがその理由です。

でも、訪日外国人はとても不便だと感じているようですよ。現金しか使えないことに不満を持つ外国人観光客は4 割に上るそうです。対応を怠ったまま、2020 年に訪日客が 4,000 万人となった場合、109 億米ドル(約 1.2 兆円)の機会損失が発生するとの試算 もあります(注2)。

ニッキィ

確かに、海外ではカードで簡単に買い物ができる方が便利ですね。便利なら、たくさんお金を使っちゃうかも(笑)。

イシハラ

決済が簡単になれば、ますます訪日客による経済効果は高まります。それだけではありません。キャッシュレス化は、いま日本で問題となっている人手不足への解決策にもなります。

ニッキィ

ランチタイムのコンビニエンスストアのレジの行列が短くなりますね!

イシハラ

その通り。効率化、コスト削減につながりまレジで現金のやり取りが無くなれば、外国人労働者や障がい者 の雇用にも期待できます。

◎キャッシュレス化への課題は

ニッキィ

経済全体への影響も大きいのですね。でも課題はないのですか?

イシハラ

国は2027年までにキャッシュレス決済比率を4割程度とすることを目指しています。(注3)。達成への課題ははっきりしていると思います。ニッキィさんの銀行のキャッシュカードにはデビット機能がついていましたね。交通系の電子マネーも持っている。でもこれを積極的に使っていない。なぜでしょうか?

ニッキィ

よく知らなかったというのもありますけど、カードの種類が多過ぎるのと、お店によってどの電子マネーが使えるのかわからず、結局現金の方が良いな、と。

イシハラ

そうでしょうね。多くの方の意見がそうなんです。決済インフラの共通化は大きな課題です。まずは事業者間で共通の決済機能を持つことが重要だと思います。競争も大事ですが、ブランドごとに決済インフラが違うと使い勝手は悪くなります。

ニッキィ

お店側はキャッシュレス決済を積極的に取り入れたいと思っているのですか?

イシハラ

人件費抑制や事務作業の簡略化などのメリットは感じているものの、端末などの導入コストや運用コストが割高だと感じる小売店や飲食店は多いようです。この問題を解決するため、中小事業者向けに補助金を出すなどの支援案が挙がっています。

ニッキィ

クレジットカード払いは一定金額以上に限るとか、ポイント付与率が低くなるといったお店もありますよね。

イシハラ

そうなんです。クレジットカードの加盟店手数料は割高なので、これを引き下げる動きが出ています。また、SNSやIT企業発の低コストで決済するビジネスが急拡大しています。これらが追い風となって、キャッシュレスにかかるコストが軽減され普及に弾みがつくと良いですね。

ニッキィ

スマホアプリの進化はキャッシュレス化を後押ししているように感じます。便利な世の中の恩恵を受けられるように情報収集したいと思います。ありがとうございました。

イシハラ

キャッシュレス決済の利用拡大には多くの立場の人が期待しているだけに、コスト面などの課題が解決すれば普及は早いと思います。 ニッキィさんも、安全性に気をつけながら使いやすい決済方法を取り入れてくださいね。

※注1~3 出典:経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」2018年4月

今月の金言 難易度2 ★★☆☆☆

前払い、即時払い、後払い。特徴をうまく活用してライフスタイルに合った決済を使い分け

訪日客消費の押し上げや人手不足対応、コスト削減など、キャッシュレスのメリットは大きい

官民で推進の動き。2027年までにキャッシュレス決済比率4割程度達成が目

ファイナンシャル・プランニング・コーチ
石原敬子さん

大学卒業後、証券会社に入社。営業12年余の経験から、資産運用アドバイスを専門とするCFP&コーチ。コーチングを取り入れお金と行動の両面からコンサルティングを行う。