石原センセイのきっちりおさえるニュースのツボ
1月17日

「ジェンダー・ギャップ指数」

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ニッキィ

イシハラさん、こんにちは。今年もよろしくお願いします。

イシハラ

こちらこそ、よろしくお願いします。ニッキィさん、最近気になったニュースは何かありましたか?

ニッキィ

昨年12月に「男女平等ランキング 」の記事がありましたね。日本は調査対象149カ国中110位だったそうで、とても驚きました。確かに男女の格差を感じることはありますが、そんなに低いとは。

イシハラ

世界経済フォーラム(WEF)の「ジェンダー・ギャップ指数」ですね。12月18日に2018年版が発表されました。前年より順位は4つ上がったものの、主要7カ国(G7)で最下位という不名誉な結果です。

ニッキィ

その指数はどういう基準でランキングしているのですか?

ジェンダー・ギャップ指数とは

イシハラ

ジェンダー・ギャップ指数は、調査対象国内の男女間の格差を数値化したものです。調査・公表するのは、スイスのジュネーブに本部を置く非営利団体の「世界経済フォーラム」です。

ニッキィ

世界経済フォーラムって聞いたことがあります。「ダボス会議」の主催団体ですか?

イシハラ

そうです。世界各国の政治家や経営者が集まるダボス会議、よくご存じですね。世界経済フォーラムの使命は、世界情勢の改善に取り組むこと。世界の競争力やリスクなど、地球規模の様々な問題を調べる報告書の一つとして、男女格差を見るジェンダー・ギャップ指数を公表しています。

ニッキィ

どういう分野の男女格差を反映しているのですか。

イシハラ

指数は、14の指標を総合して「経済」「教育」「保健・医療」「政治」の4分野で分析しています。 経済は労働参加、報酬、管理職の数などの男女比率で測定します。教育は就学率や識字率の男女差、保健・医療は出生時の性比や健康寿命の男女差、政治は閣僚や議員の人数の男女差などで見ていきます。

日本のジェンダー・ギャップ指数は0.662で世界平均より劣る

ニッキィ

それらを集計しているということですね?

イシハラ

はい。ジェンダー・ギャップ指数は、男女差が全くない状態を1.0、不平等を0.0として、その間の数値で示されます。2018年の世界全体での男女のギャップは0.68。男性100に対して女性の進出やレベルは68です。このままのペースでは、完全な男女平等になるには108年かかると試算されました。

ニッキィ

なるほど。それで110位の日本の値はいくつだったのですか?

イシハラ

日本のスコアは、0.662です。結果の表を下から見ていった方が早いです。構成している4つの分野もそれぞれスコアが算出されています。

ニッキィ

劣っている分野はなんとなく想像つきますが・・・・・・。教えてください。

イシハラ

日本は、経済が0.595で117位、教育は0.994で65位、保健・医療が0.979で41位、政治は0.081で125位です。

世界的に政治の分野では男女格差が大きい

ニッキィ

政治が0.081ですか! 男性100に対して女性は10にも満たないということですね。経済の117位と政治の125位、この2つの分野が良くないですね。

イシハラ

政治は世界的に男女格差が大きい分野で、スコアは全世界でも0.23です。149カ国のうち、女性が首相なのはわずか17カ国。大臣や議員は少し改善しているものの、女性閣僚がいない国は6カ国あります。国会議員については、世界中の議席のうち女性議員は24%です。女性議員が10%を超えていない国は18カ国あります。

ニッキィ

政治の世界ではいまだに女性はマイノリティーなのですね。人口の半分なのに。

イシハラ

本当にそうですね。ジェンダー・ギャップ指数トップのアイスランドですら、政治分野のスコアは0.674、2位のニカラグアが0.576、3位のノルウェーが0.563と、他の分野ほど高くありません。

日本の課題は?

ニッキィ

日本の教育と保険・医療はまずまずの数字ですね。

イシハラ

世界全体のスコアも教育は0.95、保健・医療は0.96と高水準で、この2分野は世界的にほぼ平等が達成されつつあります。日本も悪くはありませんが、突出してよいということではありません。

ニッキィ

となると、課題は政治と経済ですね。この2つの分野の格差が改善すれば順位は上がりそうです。

イシハラ

そうですね。それでも、ジェンダー・ギャップ指数の報告書には、日本の経済分野は全体的に改善していると書かれています。日本企業の取り組みも制度としては少しずつ前進しているように感じます。

ニッキィ

たとえばどのような?

イシハラ

年明けの日本経済新聞に、英国で発足した「30%クラブ」が今春日本でも始動するという記事がありましたよ。女性役員の比率3割を目指すキャンペーンで、主要企業の取締役会議長や最高経営責任者(CEO)からメンバーを募って活動して、2030年までの達成を目指すそうです。

ニッキィ

役員のうち女性って、どのくらいいるのでしょうね。

ニッキィ

この記事によると、日本の主要企業100社の女性役員(取締役、監査役、執行役など)比率は6.5%だそうです。まずはクラブメンバーの企業自らが女性役員比率30%に向けた数値目標を設定し、次に財界活動などを通じて他企業のトップにも働きかけていくようです。

ニッキィ

制度を整えても、社内の雰囲気を変えないとなかなか難しいですけれどね。公的年金資金の運用でも、女性役員を積極的に登用しているかどうかが投資先の基準になっていると聞きます。

イシハラ

はい、そうです。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用ですね。GPIFや生命保険会社などの機関投資家の資金運用では、投資先企業のガバナンス(企業統治)が重視されています。女性役員の登用や女性社員の増員などは、機関投資家の働きかけによって促進されている側面があります。

政治の男女格差が小さいほど、全体の順位が高い

ニッキィ

ジェンダー・ギャップの小さな国では、どんな取り組みをしているのでしょうか。

イシハラ

ヨーロッパでは、取締役の一定数以上を女性に割り当てる「クォータ制」を導入している国もあり、一定の成果が出ています。

ニッキィ

日本でもダイバーシティを推進する企業の話題を聞くようになりました。今後の取り組みに期待したいですね。男女格差が小さいのはやはり欧州ですか?

イシハラ

ランキング上位4つの国が北欧です。アイスランド(1位)、ノルウェー(2位)、スウェーデン(3位)、フィンランド(4位)。これらの国々は、政治分野での格差が比較的小さいですね。5位のニカラグアは、「ラテンアメリカとカリブ海地域」の中で、7年連続で最も格差が小さい国です。大臣の男女平等が進んでいて、女性議員の比率も世界トップクラスです。

ニッキィ

やっぱりカギになるのは政治なんですね。

イシハラ

そうですね。教育や保健・医療に比べ、遅れている分野だからこそ差がつくのでしょう。ランキング6位のルワンダは、政治分野ではスコアが0.539で4位。女性議員の比率が61%でトップです。経済分野で順位を落としたものの、政治での男女格差が小さいのです。

日本で女性議員を増やす取り組み

ニッキィ

安倍政権で「女性活躍推進法」が成立したのは2015年でしたね。

イシハラ

しかし現政権の女性閣僚はたった1人ですよ。

ニッキィ

日本は女性の政治参画にもっと力を入れるべきですね。

イシハラ

昨年5月に、「政治分野における男女共同参画推進法」が成立しています。これは女性の政界進出を進めるための法律。各政党に対して、選挙での候補者の男女の人数をできる限り均一にするという、自主的な目標設定を促すものです。

ニッキィ

でも議員って激務でしょう? 女性が当選しても議員を長く続けられるのでしょうか。

イシハラ

女性議員が働きやすい環境づくりは必須です。託児所などの整備はもちろん、女性が議員活動を続けられるように様々な条件などを整えていく必要があります。

ニッキィ

ビジネスの世界では、「人手不足だから女性の活躍推進を」という流れになっていますが、それだけではないような気がしています。女性の立場や視点での法律やルールが決まらないと。そのためには、政治家の半分はやはり女性でなければなりませんよね。

イシハラ

そう思います。労働力の確保だけではなく、政治の世界も社会の構成に合わせて、女性の意見や能力が必要です。人的資本の半分である女性がフルに活躍できていないのは非効率だと思います。

ニッキィ

ジェンダー・ギャップ指数の順位も大事ですが、各国がそれぞれスコアを上げることにこそ、意味があるのだと思います。今日はありがとうございました。

今月の金言 難易度3 ★★★☆☆

世界の格差は男性100に対して女性68.完全な男女平等まで108年かかるペース

世界的に政治分野の格差が大きく、日本は特に低水準

企業統治の観点から進む男女格差の縮小、各企業の取り組みに期待

ファイナンシャル・プランニング・コーチ
石原敬子さん

大学卒業後、証券会社に入社。営業12年余の経験から、資産運用アドバイスを専門とするCFP&コーチ。コーチングを取り入れお金と行動の両面からコンサルティングを行う。