石原センセイのきっちりおさえるニュースのツボ
2月21日

「株主優待制度」

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ニッキィ

イシハラさん、こんにちは。今日は教えてもらいたいことがあって来ました。

イシハラ

こんにちは、ニッキィさん。何でしょう? よろしくお願いします。

ニッキィ

株式投資に興味があって、調べてみたんです。株って不確実性の高い金融商品だと思っているのですが、それだけでなく、保有しているだけでお得になる制度もあるらしいですね。株を買うとその会社のオリジナル商品や、割引券などがもらえるみたいで。

イシハラ

株主優待制度のことですね。「貯金をしてもほとんど利息がつかないので投資をしてみよう」と考えても、「素人には難しい」とか「株価下落が怖い」と躊躇(ちゅうちょ)してしまうのも自然なことです。それでも、株主優待というおまけがあれば、楽しみながら投資ができるというもの。では株主優待制度について、詳しく説明していきましょう。

ニッキィ

はい。よろしくお願いします!

株主優待制度とは

イシハラ

株式を持つ株主は、その会社に対して事業のための資金を提供している人です。事業がうまくいけば、資金を出した見返りに、利益の一部分を現金で株主に分配します。これが株主配当金です。

ニッキィ

配当金は、会社が生み出した利益の一部なのですね。

イシハラ

はい。基本的には、事業で上げた利益の一部分の分配です。一方、株主優待制度は株主に対するプレゼントと言えます。上場会社がそれぞれ定めた株数以上を持つ株主に、自社の商品やサービスなどを贈る制度です。

ニッキィ

飛行機の搭乗券が割引になったり、レジャー施設の入場券が送られて来たり、ですね。

イシハラ

はい。小売業や飲食業では自社店舗で利用できる金券や割引券を、食品メーカーでは自社製品の詰め合わせを、というのは以前からありました。最近は、多くの店舗で使えるプリペイドカードを贈る企業や、仮想通貨で提供する企業なども出てきました。

株主優待を受けるには?

ニッキィ

株主優待は、株を買ったらすぐもらえるのですか?

イシハラ

すぐに送られてくるものではありません。年に1~2回程度、例えば本決算や中間決算の時など期日を決めて、その日に株主名簿に載っている株主に優待の権利を与えます。それから2~3カ月後に送られてくるケースが多いです。

ニッキィ

優待の権利を得られた株主は、優待品が送られてくるまで株を持っていないとダメですか?

イシハラ

権利が付与された後は、株式を売っても優待品はもらえます。では、優待スケジュールを丁寧に説明しましょう。例えば、3月末の株主に優待を実施する会社の場合、3月の最終営業日(土日を除く)に株主名簿に記載されている必要があります。

ニッキィ

3月末日に株を買えば間に合うのですか?

イシハラ

そこが重要。じつは株式売買は約定日の3営業日後に決済されます。権利日の3営業日前が、優待の権利を得る最終の買い付け日です。2019年の場合、3月末は29日の金曜日。そこから3日さかのぼる3月26日(火)までに株を買わなければなりません。ただし、今年の7月16日(火)からは2営業日に短縮されますよ。

ニッキィ

ああ、聞いておいてよかった! 3月27日に買っても間に合わないのですね

イシハラ

はい。そうです。制度の上では説明した通りです。でもニッキィさん、株主優待を狙って株式を買うのなら、権利が得られるギリギリに買うのはあまり賛成しませんよ。

あくまでも、株式投資

ニッキィ

えっ? どうしてですか?

イシハラ

確かに、年に1回、3月末の株主に優待を実施する場合、4月に株を買って1年近く持ち続ける株主と、3月後半に株を買う株主は、株数が同じなら優待の内容は同じです。でも、株価は常に上下しているんですよ。

ニッキィ

あ、そうか。株価の安い時に買った方がいいってことですね。

イシハラ

はい。とはいえ、いつ株価が安いかは、誰にもわかりません。ただ、傾向として、株主優待の内容が魅力的な会社の場合、多くの投資家が優待を意識した投資をしています。優待の権利を得る時期が近くなるほどその意識は高まるもので、買い注文が集まりやすくなりがちです。

ニッキィ

みんなが注目して、買い注文が集まると株価は・・・・・・。

イシハラ

そう。上がってしまいます。だから、優待の権利がもらえる時期ギリギリに慌てて検討するのはよくありませんね。年間を通して優待の内容をじっくり調べておき、株価の割安なタイミングで買うといった落ち着いた投資をおすすめします。

優待は上場会社の約4割が導入

ニッキィ

それもそうですね。株主優待は、全部の上場会社がやっているのですか?

イシハラ

いいえ、株主優待の導入社数は、2018年9月末で1,450 社です(大和インベスター・リレーションズ調べ )。上場会社数(全市場)3,771 社に対する優待実施率は 38.5%で、実施する会社の割合は増加傾向にあります。

ニッキィ

株主優待を実施している会社の目的は?

イシハラ

個人投資家は、株主であると同時に消費者でもあります。株主優待制度によって会社そのものや自社商品・サービスを知ってもらいたい、試して良さを実感してもらいたい、という目的です。

ニッキィ

なるほど。優待で送られてきた商品を使ってみて、良いと思えば次からは自分で買いますからね。売れれば利益が増えて、また株主に還元されるという好循環。

イシハラ

また、上場会社にとって、株式を長期間保有してくれる株主は「安定株主」と言って、ありがたい存在です。安定株主が多いほど株価は安定しますし、自社のファンとしても心強いです。

ニッキィ

ファンづくりか。好きな商品やよく利用するサービスの会社の優待は嬉しいですね。

イシハラ

その通りです。最近では、株主に長く株式を保有してもらいたいために、継続保有期間に応じて優待の内容をグレードアップする会社も増えてきました。例えば、付与ポイント数が増えるとか。

ニッキィ

優待でポイント?

イシハラ

金券やプリペイドカードの代わりに、優待品としてポイントを付与し、ポータルサイトで好きな品物を選んで受け取れる優待制度が出てきました。複数社の優待ポイントを合算することもできます。

株主優待と投資の情報

ニッキィ

へえ、いろいろあるんですね。企業の「株主優待情報」の説明で「利回り」が書いてあるものがありました。あれは?

イシハラ

「優待利回り」ですね。ある日の株価で優待に必要な株数を買った場合に、その優待内容を1回ないしは1年分受け取ったとして金銭に換算して利回り計算をしたものです。株主優待が増えてきたので、銘柄を比較して判断しやすくするための情報の提供が増えてきましたね。

ニッキィ

そうなんですね。プリペイドカードやお買い物券、自社製品などがいくら分と、投資利回りで表示されているのですね。

イシハラ

はい。そうです。この計算に株主配当金を含めた「配当&優待利回り」もありますよ。どちらにしても、肝心なのは投資金額によって利回りは大きく変わるということ。株価が安い時に買わないと利回りは高くなりませんよ。

ニッキィ

ああ、やっぱりちゃんと勉強しないとダメなんだ。

イシハラ

そりゃあそうですよ。株式投資なんですからね。時々、何をしている会社かもよく分からずに、優待の内容だけに注目して投資をしている人を見かけますが、危険だなと思います。優待内容だけを見るとお得でも、優待の実質金額以上に株価が下がり、元も子もなくなることがありますからね。

ニッキィ

それは注意しないといけませんね。

イシハラ

株数が多くなるほど優待の内容が良くなる会社もあり、それにつられると投資金額が過大になります。過去の株価を見ずに買って、思った以上に値動きが大きい会社だったということもあります。業績をまったくチェックせずに買って、株価が下がっても気づかずにいる投資家も多く見受けられます。しかも、優待内容は変更されることもありますよ。

ニッキィ

わあ、恐ろしい。やっぱり投資は怖いのかな。

イシハラ

いいえ、株式投資は経済にとって必要なシステムだし、個人の資産形成にも役立つ方法です。しかし、利用方法を間違えると危険な場合があります。

ニッキィ

お得感だけで投資をすると痛い目に遭うっていうことだ!

イシハラ

はい、その通りです。「日本経済新聞」をしっかり読んで勉強して下さいね。

今月の金言 難易度2 ★★☆☆☆

株主優待は、会社から株主へのプレゼント

株主優待を受けるには、スケジュールに注意

優待内容だけでなく、会社の事業や業績などもチェックを

ファイナンシャル・プランニング・コーチ
石原敬子さん

大学卒業後、証券会社に入社。営業12年余の経験から、資産運用アドバイスを専門とするCFP&コーチ。コーチングを取り入れお金と行動の両面からコンサルティングを行う。