石原センセイのきっちりおさえるニュースのツボ
3月22日

平成の経済プレイバック

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イシハラ

ニッキィさん、こんにちは。もうすぐ新しい元号の時代が幕を開けますね。

ニッキィ

そうですね。実は私、平成元年(1989年)生まれなんです。新しい時代に希望を抱く反面、平成が終わってしまうと自分のアイデンティティが失われるような、寂しい気もしています。

イシハラ

そうなんですね。私はバブル期入社世代。平成と同時に社会に出て今に至ります。平成の歩みと一緒に世の中を見続けてきました。

ニッキィ

それ、興味あります。平成を通して日本の経済がどう変わってきたのか、教えて下さい。

バブルで幕が開けた平成、そしてバブルの崩壊

イシハラ

「平成」は、中国の歴史書から平和の達成を願って名付けられたそうですが、お世辞にも「平和」とは言い切れない時代でしたね。

ニッキィ

そうなんですか。私は大人になってからしか分かりませんが、世界のあちこちで紛争やテロがあったり自然災害が起こったりしていますね。

イシハラ

そうですね。経済を中心に振り返ってみても、不況が続いたせいで不幸なことがずいぶん起こったような気がします。

ニッキィ

でも、平成初期は良かったんでしょう? イシハラさんぐらいの年代の方は、「若い頃は、たくさん遊んだ」って言うので、うらやましいと思っているんですよ。

イシハラ

確かに、平成の始まりはバブル絶頂期でしたね。日経平均株価の最高値をつけたのが、平成元年(1989年)12月29日。終値で3万8,915円でした。

ニッキィ

今は2万円ぐらいですから、すごいですね。どうしてそんなに高かったのですか?

イシハラ

昭和60年(1985年)に、当時のドル高に歯止めをかけるために先進5カ国で話し合った「プラザ合意」がありました。その結果、円高ドル安になって日本が不況に陥ったため、日銀が当時の政策金利を引き下げたんです。

ニッキィ

金利の引き下げって、今と同じじゃないですか。

イシハラ

今は、政策の効果が出ていないんですね。平成の間に、セオリー通りの政策が効かない状況になってしまったみたいです。日銀が、当時の政策金利である「公定歩合」を下げてお金を借りやすくしたため、不動産や株式への投資が進んで、実態以上の価値がついて「バブル」となったのです。

ニッキィ

不況を防ごうとして政策で金利を下げたら、景気が過熱したというわけですね。

イシハラ

そうです。日本国内では投資しきれないほどのカネ余りとなり、ニューヨークのビルやロサンゼルスの映画会社を日本企業が買収するほどでした。もしかしたらトランプ大統領は、この時期の「ジャパンマネー」に対する敵対心を今でも持っているのかもしれません。

ニッキィ

なるほど。歴史を知ると、今の状況もより深く理解できそうですね。

イシハラ

でも、過熱した景気は、物価の上昇などで国民生活に悪影響を及ぼします。当時の大蔵省(現財務省)が、行き過ぎた景気を冷やそうと金融機関の不動産融資を制限する規制をかけます。日銀や政府も次々と対策を打ち出していきました。

ニッキィ

それがきっかけでバブルがはじけたのですね。

バブル崩壊と金融不祥事、不良債権

イシハラ

バブル期のいわば「マネーゲーム」は、日本の金融業界をむしばんだだけでなく、経済事件も引き起こしました。バブル崩壊やその後の不況で損失を抱えた企業に対し、銀行や証券会社が特別に便宜を図るなどの不祥事が相次ぎました。

ニッキィ

昔は大手銀行がたくさんあって、次々と再編されて現在の体制になったみたいですね。

イシハラ

はい、金融業界の不祥事や、貸したお金が返ってこない不良債権問題などを経て、金融業界は大きく変わりました。まずは平成8年(1996年)12月に橋本政権が打ち出した「日本版金融ビッグバン」です。銀行、証券、保険業界にわたる大改革で、為替取引の自由化、横並びだった預金金利の自由化、業界の垣根を超えた投資信託や保険商品の銀行窓口での取り扱いなどがはじまりました。

ニッキィ

子どもの頃、「不良債権」という言葉をよく聞きました。「不良」が印象的だったのでよく覚えています。

イシハラ

融資先からの返済が滞ると、預金者にお金を返せなくなってしまいます。不良債権を抱えて、銀行は経営が不安定になり、体力の弱い金融機関が吸収合併されたり、破たんしたりしました。私たちの税金である「公的資金」を使って金融機関の救済も行われました。

ニッキィ

「平成」は金融業界に大きな変化をもたらした時代でしたね。

バブルのツケが飛び火、さらにデフレで主役交代の流通業

イシハラ

金融機関の経営不振は、業界内にとどまりませんでした。お金は経済の血液ですからね。流通業界の再編もドラスティックでした。「主婦の店」と銘打ち、安売りで急成長したある大手スーパーは巨額負債を抱え産業再生機構に支援を要請、現在は別の流通グループの傘下に入っています。

ニッキィ

流通・小売は、スーパーやデパートが落ち込む一方、新興勢力も台頭していますね。

イシハラ

不況が長引いたため、商品の企画や製造から販売までを一社で手掛ける「製造小売業」の登場は、低価格なだけでなく、質も良く、消費者ニーズもとらえて革命的でした。物流にまで大きな影響を与えました。

ニッキィ

コンビニエンスストアはどんどん便利になりましたね。

イシハラ

平成の初めのコンビニは、商品販売以外のサービスはコピーサービスと宅配便の取扱い程度でした。平成の間に、ATMの導入、チケットの取扱い、PB(プライベートブランド)商品の拡充やコンビニコーヒーの提供など、今では当たり前の商品が投入されました。

ニッキィ

そういうコンビニも、最近は厳しい局面を迎えているようですね。

イシハラ

そうですね。飽和状態とも言われる中、人件費の高騰はフランチャイズの経営を圧迫しますし、ネットショッピングの追い上げは脅威です。

ニッキィ

ふむふむ。デフレ、人手不足、効率化、IT(情報技術)。時代のキーワードが凝縮されていますね。

長引くデフレと自然災害、そして消費税

イシハラ

長引いたデフレは、家電業界にもダメージを与えました。円高で日本のメーカーは価格競争力が弱まり、中国や韓国のメーカーにシェアを奪われてしまいました。合併や再編、海外資本の参加などの打撃を受けました。工場の撤退やリストラなどで雇用不安も広がりました。

ニッキィ

日本の輸出産業は円高でかなり苦しんだのでしょう?

イシハラ

対応するために相当努力したと思います。自動車産業をはじめ多くの業種が効率化に取り組んできました。それでも平成20年(2008年)のリーマン・ショックの打撃は特に大きかったようです。

ニッキィ

リーマン・ショックからようやく立ち直ったと思った頃、東日本大震災が発生して深刻な不況に陥ったと記憶しています。社会人1年目のことでした。

イシハラ

平成の時代は自然災害も多かったですね。平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災はバブル崩壊後、緩やかに景気が回復し始めた矢先でした。平成は、少し景気が良くなったかと思えば、予期せぬ出来事で不況に逆戻り、というサイクルを繰り返してきたような気がします。

ニッキィ

就職して数年後、お給料が上がって余裕ができたと思ったところに、消費税が5%から8%になったんです。痛かったです。消費税の引き上げは景気を冷やしたんですよね。

イシハラ

消費税は平成とともにスタート。日本に3%の消費税が導入されたのは、平成元年(1989年)4月です。5%になったのは平成9年(1997年)。金融機関の破たんやアジア通貨危機などが重なって急激に景気が悪くなりました。

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ニッキィ

次の引き上げは今年10月の予定。新しい元号の時代です。景気に悪影響を及ぼさなければいいですね。

私たちの生活を変えたIT

イシハラ

そうですね。そういえばずっと暗い話ばかりでしたね。平成の間に前進したこともありましたよ。一連の金融改革によって、銀行の自己資本比率改善や株式持ち合いの解消が進み、銀行以外の出資者が企業を厳しく見るようになって企業統治(コーポレートガバナンス)が進みました。また、資金調達の方法が直接金融にシフトしていくなかで、ベンチャーや起業家に出資するファンドが育ちました。

ニッキィ

それは、IT企業や情報産業の発展につながったということでしょうか。

イシハラ

そうですね。それは資金調達の変化だけでなく、インターネットやブロードバンドなど通信環境の劇的な変化も大きいでしょう。情報通信分野の拡大は、産業界だけでなく、私たちの生活をもガラリと変えました。

ニッキィ

平成初期は、一般の人は携帯電話を持っていなかったのでしょう? 

イシハラ

携帯電話が普及し、のちに「通話だけ」から「通信も」になり、急速に情報通信が発展しました。それによって効率化が進み、産業構造が大きく変わりました。今では、デジタル化されたコンテンツが大きな価値を生むようになりました。平成の初めには想像がつかなかったことですし、さらに発展していくでしょう。

ニッキィ

電子マネーの利用などキャッシュレス化もさらに進んでいくのでしょうね。新しい元号になってからしばらくすると、お札を見たら「懐かしい」なんて思うのでしょうか。

イシハラ

そうかもしれませんね。平成年間を振り返ってみて、改めて激動の時代だったと感じました。

ニッキィ

一つひとつの出来事の延長線上に今があることを実感しました。ありがとうございました。

今月の金言 難易度2 ★★☆☆☆

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ファイナンシャル・プランニング・コーチ
石原敬子さん

大学卒業後、証券会社に入社。営業12年余の経験から、資産運用アドバイスを専門とするCFP&コーチ。コーチングを取り入れお金と行動の両面からコンサルティングを行う。