石原センセイのきっちりおさえるニュースのツボ
3月19日

家計調査で見る、「うちは使い過ぎ?」

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ニッキィ

イシハラさん、こんにちは。今日は家計についての質問です。

イシハラ

こんにちは、ニッキィさん。どんなことでしょう? 

ニッキィ

私は結婚してから5年、大ざっぱですが家計簿をつけています。

イシハラ

まあ、素晴らしい。

ニッキィ

最近は、スマホのアプリで家計管理が簡単にできるようになりました。ただ、よそのお宅と比べてうちはどうなのか、平均より多いのか少ないのかわからなくて。

イシハラ

なるほど。

「普通」はありません。十人十色

イシハラ

まず、ニッキィさんのようにきちんと家計の記録を取って振り返っているだけでもかなり優秀だと思います。平均以上!?

ニッキィ

知りたいのは金額がどうかということなんですけど。

イシハラ

平均や一般的な水準が気になる方は多いのですが、生活は十人十色。日々の暮らしや人生に「普通」なんてありません。ニッキィさんやご家族が、将来にわたって納得のいくお金の使い方をするのが一番です。でも、平均的な支出額ってやっぱり気になりますよね。

ニッキィ

はい。気になります。

イシハラ

どうしても気になるのなら、総務省が公表している「家計調査」を参考にすると良いですよ。家計収支編の場合、毎月上旬には前月分の平均額が公表されます。ただ・・・・・・。

ニッキィ

ただ?

イシハラ

数値はあくまでも平均値。「2人以上の世帯」の消費支出や「勤労者世帯」の実収入です。多くの統計でいえることなのですが、平均値が実態を反映しているとはいい難い面があります。一握りの富裕層が収入金額の平均値を引き上げて、大多数の人が平均額以下に分布される傾向があります。

ニッキィ

そうなんですね・・・・・・。「2人以上の世帯」という区分があるのですね?

「我が家」に近い世帯のデータを参考に

イシハラ

はい。家計調査には、他に「単身世帯」があり、2人以上の世帯と単身世帯を合わせた「総世帯」があります。2019年平均は、総世帯の消費支出は1世帯当たり月249,704円、2人以上の世帯では293,379円です。家族の人数は支出額に影響しますからね。

ニッキィ

確かにそうですね。

イシハラ

その他に「勤労者世帯」「勤労者以外の世帯」という区分もあります。

ニッキィ

結構細かいですね。

イシハラ

そう、家計調査はとても細かいデータなのです。世帯収入や年齢層、居住地域や都市の規模別、住宅ローンの有無別などの区分でも集計されています。詳しい結果は、総務省統計局のホームページからダウンロードして見ることができますよ。

ニッキィ

へえ、そうなのですね。例えば、近畿地方に住む2人以上世帯で、収入600万円の世帯の1カ月の出費はいくらなのか分かるのですか?

イシハラ

おおむね分かります。19年の年間集計では、近畿・2人以上で収入600万円以上650万円未満の世帯の消費支出は月平均295,863円です。先ほど紹介した全国の2人以上世帯平均の消費支出よりちょっと多いですね。ちなみに消費支出は税金や社会保険料を差し引いた支出額です。

ニッキィ

我が家の実態に近い条件の調査結果を見れば、使い過ぎかどうかの目安になりますね。

イシハラ

そうですね。ただ、使い過ぎかどうかはやはり平均値を使うよりも、ニッキィさんの世帯での費目ごとの適切な支出額や目標額を見積もって、それをオーバーしたら「使い過ぎだな」と判断できるようになって頂きたいですね。

ニッキィ

はい。頑張ります。

家計の状態から、景気を読む

イシハラ

調査結果を実際に見ると、データが細分化されたくさん並んでいるので驚かれると思います。家計調査は、景気動向を判断する指標として活用されています。支出や収入、個別の費目の増減などが注目されます。

ニッキィ

本来、この統計はそういう使い方をするのですね。

イシハラ

例えば19年12月や20年1月のように、エアコンや衣料などの不振から「暖冬の影響で消費が落ち込んだ」といった分析ができます。

ニッキィ

昨年10月の消費増税は、お金の使い方にどう影響しましたか?

イシハラ

19年10~12月期平均の消費支出(総世帯)は、前年同期に比べて、物価変動の影響を取り除いた「実質」で4.7%の減少でした。10月の増税前の駆け込み需要の反動減だと考えられます。ただ、前回の消費増税(5%→8%)後の14年4~6月期は、消費支出が前年同期比5.7%減だったので、今回の落ち込みは小幅だったといえます。

ニッキィ

キャッシュレスの還元策などが効いているのかしら?

イシハラ

そこまでは何ともいえませんが、前回の消費増税とは引き上げ幅が違うことや、今回は駆け込み需要そのものが少なかったことなどが、反動が小さかった理由といえるでしょう。ただ、消費税引き上げから日が経ち、影響が薄れて年末商戦に入っても消費は回復しませんでした。支出は1月まで4カ月連続で前年同月に比べて減少しています。

ニッキィ

人々がお金を使わないと景気が落ち込みますよね。

イシハラ

はい。収入が少なくなったり、消費を控えたりする傾向は景気に対してネガティブな影響を与えます。

ニッキィ

新型コロナウイルスの感染拡大防止で、2月以降は旅行やレジャーなどの外出を控えたり、イベントが中止になったりしているので影響がでそうですね。

イシハラ

そうですね。かなり大きなダメージになると思います。トイレットペーパーやマスク、アルコール消毒剤やハンドソープなどの需要が高まっていますが、これらは旅行費用などに比べると金額は高が知れています。この先の消費の落ち込みは避けられないと思います。

ニッキィ

お客さんやイベントの減少などで仕事が減った人が多数います。収入が減る人も多いでしょうね。

イシハラ

その通りです。いつまで収入減が続くかわからない状況では、家計の財布のひもが固くなるのは目に見えています。

ニッキィ

こういう統計がある程度読めると、景気がいいのか悪いのかを判断できそうですね。

イシハラ

そうですね。関心があるようでしたら、日経電子版の「経済指標ダッシュボード」が見やすいですよ。日本経済の動向を把握するのに役に立つ経済指標を一覧できます。グラフで表示されるのでビジュアル的に理解できます。

ニッキィ

見てみます!

支出の費目から、消費の傾向が見えてくる

イシハラ

最後にもう1つ。家計調査を少し違った角度で利用するのも面白いですよ。

ニッキィ

違った角度?

イシハラ

社会全体の消費やライフスタイルの傾向を見ることもできます。例えば、交際費(実質)は12年連続で減っているとか、魚介類の支出が約20年前に比べて7割弱になっているとか(共に2人以上の世帯)。

ニッキィ

冠婚葬祭の形やお付き合いの感覚は以前と違いますし、食生活も変化しているということですかね。

イシハラ

なんとなく肌で感じているものを、家計調査を担当する総務省が数字で分かりやすくレポートにまとめています。「家計ミニトピックス」として、消費の調査結果を分析する中で見つけた暮らしの傾向を毎月1つ提供しています。

ニッキィ

へえ、面白そう。

イシハラ

これもホームページで見ることができます。最近の話題(共に2人以上の世帯)では、貝類支出のうちカキの割合が増えている、クリスマスや大みそかは総菜やおせちなど調理食品の支出が多い、ワインの支出は50歳代が最も多い、ミネラルウオーターの支出は15年以降増加傾向など、さまざまな話題が紹介されています。

ニッキィ

言われてみると「確かにそうかもね」という話題ばかりですね。お金の使い方から生活の様子がわかるというのも興味深いです。経済指標と言われると敬遠しがちですが、数字で暮らしの様子がわかると考えると身近に感じますね。ありがとうございました。

今月の金言 難易度3 ★★★☆☆

家計は「よそのお宅はどうなの?」よりも、我が家の適切な水準を見つけよう

それでも平均が知りたければ「家計調査」が役に立つ

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ファイナンシャル・プランニング・コーチ
石原敬子さん

大学卒業後、証券会社に入社。営業12年余の経験から、資産運用アドバイスを専門とするCFP&コーチ。コーチングを取り入れお金と行動の両面からコンサルティングを行う。