石原センセイのきっちりおさえるニュースのツボ
4月16日

「コロナショックでiDeCoの運用額が目減り。どうしよう?」

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イシハラ

こんにちは、ニッキィさん。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、東京都などは外出自粛が求められる厳しい状況が続いています。仕事への影響はいかがですか?

ニッキィ

今のところ私の業務に直接の影響はありません。ただ、会社の業績は悪くなるでしょうね。プライベートの予定はキャンセル続きで楽しみが減ってしまいました。

イシハラ

早く感染拡大が収束してほしいですね。社会の一員として感染を広げない行動は当然ですが、長引いて景気が悪くなるのも困りますね。ニッキィさんが予想しているように、多くの会社の業績悪化は避けられないと思います。

ニッキィ

株価がすごく下がっているんでしょう? 個人型確定拠出年金(iDeCo)を始めてから初めてのことなのでとても心配です。

投資信託のバランス型とは

イシハラ

今回のコロナショックでは、ほとんどの金融相場が下落して心配ですね。ニッキィさんにお持ちいただいたiDeCoのマイページ画面で資産配分を見させていただくと、しっかり分散投資している「バランス型」の投資信託のようですね。この状況でもバランス型投信の運用収益は下げの割合が小さいですよ。

ニッキィ

そうなのですか。

イシハラ

はい。バランス型運用の投資対象は、地域なら世界各国、金融商品なら株式や債券、不動産など多岐にわたります。日本株だけ、米国株だけというように投資地域や対象を絞っている運用に比べて、リスクを小さくする効果が働くのが特徴です。

ニッキィ

でも、ビックリするほど基準価額が下がりました。

イシハラ

そうですね。最近10年ぐらいの間に投資を始めた方にとっては、これほど大きな値下がりは初めての経験でしょうからね。気が気でない人もいらっしゃると思います。でもここで慌てても値上がりするわけではありません。今後のことを考えてみることにしましょう。

ニッキィ

お願いします。iDeCoの見直しもちょっと考えています。

イシハラ

ではまず資産運用の基本から。一般に、株式より債券で運用する方が値動きは小さいため、債券の配分が大きい投信ほど基準価額の変動率が小さくなります。

ニッキィ

変動率が小さいというのは、いいのかな? 悪いのかな?

イシハラ

良いか悪いかよりも、その人の考えに合うか合わないかを考えればよいと思います。変動率が小さいと、値上がりする場面では他の投資に比べて収益が見劣りする半面、今回のような値下げ局面では損失を小さく抑えられます。

ニッキィ

大もうけしたいのか、それともなるべく損をしたくないのかの選択ですね。

イシハラ

そうです。変動率が大きいことを「リスクが高い」といいます。「ハイリスク・ハイリターン」という言葉は、大きな利益が得られる資産はリスクも高いことを意味します。

ニッキィ

私のiDeCoは資産全体を円グラフで見ると、「国内株」「海外株」「国内債券」「海外債券」「不動産投資信託(REIT)」「その他金融資産」に分かれていますね。

イシハラ

ニッキィさんのiDeCoの投資先は、国内外の株式が合わせて2割、国内外の債券は合計6割、不動産とその他がそれぞれ1割。安定性の高いバランス型といえます。このように地域や資産を分けて、幅広く分散投資する運用方法を「国際分散投資」といいます。

ニッキィ

この内訳は変更できるんですよね?

イシハラ

はい。ご自身の投資方針が変わったり国内外の経済環境が変わったりして、運用の中身を見直したいと思えば変更できます。新たに積み立てる分から変更する方法と、購入した投信を買い替える2つの方法があります。バランス型でも投資資産の組み合わせを変えればリスクの度合いが変わります。

ニッキィ

もっと値動きを小さくしたければ債券の割合を増やすということですね。利益増を狙いたければ株式の割合を増やす、そう考えていればよいですか?

イシハラ

はい、そうです。値動きが小さくなる配分を安定型といい、大きくなるような配分を積極型と呼んでいます。海外の資産の値動きは為替相場の変動にも影響を受けますから、それもリスク要因の一つです。

ニッキィ

投資対象が先進国と新興国に分かれているものもありますね。

イシハラ

さらに細かく、欧州の株により多く投資するとか、米国の債券で運用するなど、特定の国や地域への投資に絞った投信もあります。

ニッキィ

なるほど。いろいろな配分方法があるんですね。私のiDeCoは安定型でバランスが取れているそうですが、結局は今値下がりしちゃっているのでちょっと不安。つみたてNISA(少額投資非課税制度)で投信の積み立てをしている友人も、コロナショックで急に運用額が目減りしたと言っていました。

イシハラ

つみたてNISAは毎月一定額の投信や上場投資信託(ETF)を購入する制度で、解約する時に値上がり益が非課税になるメリットがあります。2018年1月に始まった制度なので、やはり今回が初めての本格的な値下がり体験という方も大勢いらっしゃるでしょうね。でも、考えようによっては喜んでいい場面かもしれません。

定期的に同じ金額の投資が効果的

ニッキィ

えっ? どういうことですか?

イシハラ

ニッキィさんが利用しているiDeCo、つみたてNISA、株式累積投資(るいとう)といった、値動きのある金融商品を定期的に同じ金額で積み立てている人にとっては、一時的なら値下がりも悪くないですよ。インターネット証券の中にはこの数カ月、投信の月間積立額が増加し、新型コロナウイルスの感染が広がった後も続いているところがあります。株価下落で、新たな積み立て投資のチャンスと考える個人投資家が多いようです。

ニッキィ

なぜ積み立てが良いのですか? 

イシハラ

今度はさらにリスクを抑えるために投資のタイミングを分散させる話をします。投資できる金額すべてを一度に投資するのではなく、少しずつ買う時期をずらすのです。

ニッキィ

私はiDeCoに毎月1万円の掛け金を払っています。

イシハラ

投信の基準価額は毎日動いているので、同じ1万円でも買える数量(口数)が違っていることにお気づきですか? これは、つみたてNISAもるいとうも一緒。もし勤務先で従業員持ち株会制度に入っていたら、それも同じ仕組みです。

ニッキィ

iDeCoの残高を見た時に、保有数量が半端な数字で変だなと思っていました。

イシハラ

毎月決まった金額では、基準価額が高い時には少ししか買えませんが、安い時ならたくさん買えるので平均の購入額を下げる効果があります。

ニッキィ

平均の購入額が下がると、何か良いことがあるのですか?

イシハラ

ニッキィさんは投資をするなら、値段の高い時に買いたいですか? 

ニッキィ

まさか! 安い時に買いたいです。安く買って、高く売りたい。

イシハラ

でしょ? 投信や株式の積み立てもそれと同じです。それに安いものをたくさん買えば、1つ当たりの購入額は低くなります。

ニッキィ

なるほど。コロナショックで世界中の株価などが下がった今は、1万円の積み立てでこれまでよりたくさんの口数が買えるということですね。過去に積み立てた分の目減りばかりに意識が向いていました。これから積み立てる分は安く買えるからうれしいことなのですね。

イシハラ

そうです。ただし、このままどんどん値下がりが続くようだと、いつまでたっても「高く売りたい」につながりません。ある程度の上下の動きのある場合に効果的です。

ニッキィ

iDeCoの明細を見て「毎回同じ口数で買うとキリがよいのに」と思っていました。

イシハラ

平均購入価額を引き下げるのは、積立額が毎回同じところがミソ。この積み立て方式を「ドルコスト平均法」といいます。

ニッキィ

会社の上司は「株が安くなったから今が買うチャンス」と言っていました。どうやら定期預金の満期金で投資をしたいみたいです。

イシハラ

まとまった金額を一発勝負で投資するのは、イチかバチかのリスクが高い取引です。ドルコスト平均法のように毎回、一定の金額で購入するなら、投資家の思惑が入る余地はありません。それがかえって良いのです。今は先行きが不透明な時。相場の暴落時に一気に買っても、さらに下がるかもしれません。

ニッキィ

積み立て投資はタイミングを見て一度に買うよりリスクを抑えられるってことですね。

イシハラ

しばらく投資には厳しい状況が続きますが、資産形成の余裕があるならむしろ投資経験を積む貴重な機会と前向きに考えてみてもいいかもしれません。

ニッキィ

そうですね。改めてiDeCoへの理解も深まったし、値下がりした時の心の持ちようも勉強になりました。ありがとうございました。

今月の金言 難易度3 ★★★☆☆

iDeCoやつみたてNISA、リスクを抑えたいなら国際分散投資

コツコツ積み立てリスクを軽減「ドルコスト平均法」

相場の暴落時、まとまった金額で株を一気に買うのは高リスク

ファイナンシャル・プランニング・コーチ
石原敬子さん

大学卒業後、証券会社に入社。営業12年余の経験から、資産運用アドバイスを専門とするCFP&コーチ。コーチングを取り入れお金と行動の両面からコンサルティングを行う。