石原センセイのきっちりおさえるニュースのツボ
9月17日

酒税法の改正でビール減税、発泡酒・第三のビールは増税

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イシハラ

こんにちは、ニッキィさん。まだまだ暑いですね。

ニッキィ

イシハラさん、こんにちは。本当ですね。ビールのおいしい夜が続いています。

イシハラ

ニッキィさんはビール党ですか? 10月からはもっとたくさん飲めそうですね。

お酒の種類によって違う酒税の税率

ニッキィ

10月からビールがおいしくなるのですか? 

イシハラ

いえ、そうではなくて酒税法の改正で10月1日からビールが減税されるのです。ただし「お財布に優しい」といわれてきた発泡酒や第三のビールは増税されます。

ニッキィ

最近は缶をちょっと見ただけでは、ビールなのか、発泡酒や第三のビールなのかが分かりにくくなりましたね。テレビCMでは高級そうに見えたのに、店頭で見たらリーズナブルな価格で「これは第三のビールだったのか」と驚いたことが何度かありました。

イシハラ

ビール、発泡酒、第三のビールは似ていますが、麦芽など原料の配合が違います。ジャンルが違うと酒税も違うので、その差が商品価格に反映しています。

ニッキィ

お酒に酒税がかかるのは知っていますけど、どの程度かかるのかよく分からないまま気にせずに飲んでいます。

イシハラ

お酒にかかる税金は価格に含まれる酒税のほか、通常の商品と同じように消費税がかかっています。消費税は価格に含まれる酒税に対しても課されているんです。酒税はアルコ-ル分が1度以上の飲料に課せられ、品目ごとに税率が決まっています。料理用のお酒やみりんにもかかっているんですよ。

ニッキィ

酒税と消費税の両方?

イシハラ

はい。ビールの場合、350ミリリットルの缶ビール1本の一般的な小売価格のうち、42.9%が酒税と消費税を合わせた税金分です。大手メーカーが手ごろな価格で出している発泡酒は37.1%が税金です。これに対して、日本酒は19.6%、ワインは18%と、ビールにかかる税金はお酒の中でも高いままなのです。

ニッキィ

ええっ? そんなに違うんですか。私は日本酒やワインよりもビールの方が好きなのでもっと詳しく教えてください。

酒税は"ぜいたく税"

イシハラ

かつては「物品税」というぜいたく品に課された税金がありました。アルコール飲料のほか、化粧品や香水、貴金属などにかかる税金でした。1989年に税率3%で消費税が導入されたときに、代わりに物品税は廃止になったのですが、アルコール飲料はぜいたく品という位置づけのまま、酒税がいまだに課されているんです。

ニッキィ

ぜいたく品ですか。確かに最低限のくらしには必要ないかもしれないけれど、お酒を飲まない生活は寂しいですね。

イシハラ

ところでニッキィさん、税金には直接税と間接税があるのをご存じですか? 

ニッキィ

今回のレクチャーはそこからですか? もちろん知っていますよ。小学校の社会科で酒税は間接税だと習いました。

イシハラ

まあまあ。意外と大事なポイントなんですよ。その通り、酒税は間接税です。間接税は商品を買う私たち消費者が納めるのではなく業者が納税者です。直接税と違って、間接税は消費者の所得に応じた税負担にするのが難しいのです。

ニッキィ

間接税は所得の低い人には重く感じられるということですね。

イシハラ

そうです。だから、酒税は一般大衆が購入するお酒と高級なお酒の税率に差をつけることで、納税者の経済力に見合う納税ができるようにしているのです。

ニッキィ

"ぜいたく税"ですからね。そういう流れで「間接税とは何か」を説明したのですね。

イシハラ

はい。この観点から、お酒の種類ごとに異なる税率が定められているんです。ビール系飲料は時代の流れとともに消費者のニーズが変わり、より低価格でおいしいアルコール飲料が登場し、好みも多様化しました。

ビール系飲料はビール、発泡酒、第三のビール

ニッキィ

ビールだけじゃなくて、発泡酒や第三のビールが登場したんですね。

イシハラ

はい。ではいよいよ今回の酒税の改正に話を進めます。ビール好きのニッキィさん、フルーツやスパイスなどが加えられた「フレーバービール」はご存知ですか?

ニッキィ

ビールフェスのようなイベントで、パイナップルやストロベリー味の珍しいビールを飲んだことがあります。

イシハラ

2018年の酒税法改正でビールの定義が広がったのです。副原料に果実やスパイス、ハーブ、野菜などを使用してもビールと呼べるようになりました。

ニッキィ

レモン風味の缶ビールも出ましたね。「ビール離れ」が指摘される若者を取り込もうとしているのかな。

イシハラ

原料の麦芽の比率も見直されて、50%以上ならビールに該当するようになりました。以前は麦芽の比率が67%以上でなければビールとは呼べませんでした。副原料に使えるものも決められていて、使用できる副原料でも配合比率は麦芽の5%までと決まっています。これらの条件を満たしていないものが発泡酒です。

ニッキィ

「新ジャンル」「第三のビール」と呼ばれているお酒もありますよね? 

イシハラ

麦芽以外の穀類を発酵させたり、別のアルコール飲料を使ったりしているものが「第三のビール(新ジャンル)」です。商品には「リキュール(発泡性)」と表示されています。

ニッキィ

値段は高い順に、ビール、発泡酒、第三のビールかな。

20年10月から6年かけて3段階で税率変更

イシハラ

酒税の税率も現在はその順番で高くなっています。これが将来は全部同じ税率になります。ビールは減税、発泡酒と第三のビールは増税になります。

ニッキィ

それが10月からなのですね?

イシハラ

10月の変更は最初の一歩です。いきなり税率を大きく変えると影響が大きいので、段階的に税率が変更されます。

ニッキィ

どういうスケジュールなのですか?

イシハラ

まずビールについて説明します。ビールの酒税は20年9月30日までは350ミリリットルあたり77円です。これが10月1日から70円になり、23年10月1日 からは63.35円、26年10月1日からは54.25円になります。

ニッキィ

77円の税金が54.25円になるのは大きいですね。

イシハラ

そうですね。酒税の変更が商品の価格改定につながりますからね。10月に値段がどれくらい下がるかチェックしたいと思います。次に発泡酒。麦芽比率が25%未満のものは現在の350ミリリットルあたり46.99円がしばらく続き、26年10月1日からビールと同じ54.25円になります。

ニッキィ

第三のビールも変わるのですか?

イシハラ

はい。第三のビールの酒税は350ミリリットルあたり28円が10月1日から37.8円に増税されます。さらに第三のビールというジャンルは23年10月1日から発泡酒に統合されます。この時、第三のビールだったお酒にとっては増税になります。

ニッキィ

20年9月30日までの28円と比べると、26年には倍近くになりますね。

イシハラ

第三のビールは価格が安く家計の助けになっていたジャンルですから、増税は厳しいですね。

日本酒やワインの税率はどうなる?

ニッキィ

もともと税率の低かった日本酒やワインはどうなるのでしょう?

イシハラ

日本酒は10月から1リットルあたり10円下がり、23年10月からさらに10円下がって1リットルあたり100円になります。ワインは10月から10円増税され、23年10月からさらに10円上がって、日本酒と同じ1リットルあたり100円になります。

ニッキィ

ビール系飲料と比べるとどうなのかしら。

イシハラ

ビールなどは1リットルあたりでは155円ですから、まだ税負担は大きいですね。低価格で若い人に人気のチューハイは現在の税率が26年9月30日まで据え置きで、350ミリリットル換算で28円、1リットル当たり80円です。26年10月から1リットル当たり100円に増税され、日本酒やワインと同じになります。

ニッキィ

昨年の消費増税があって、次にコロナ禍。節約もしたいけどビールで癒やされたいし。何にお金をかけて何を我慢するかを考えるのに参考になる情報ですね。ありがとうございました。

今月の金言 難易度2 ★★☆☆☆

もともとお酒にかかる税金は“ぜいたく税”の位置づけ。高級品ほど高い税率

商品が多様化しても高い税率が続いていたビール系飲料の課税見直し

減税されるのはビールと日本酒、増税になるのは発泡酒、第三のビール、チューハイ、ワイン

ファイナンシャル・プランニング・コーチ
石原敬子さん

大学卒業後、証券会社に入社。営業12年余の経験から、資産運用アドバイスを専門とするCFP&コーチ。コーチングを取り入れお金と行動の両面からコンサルティングを行う。