ニッキィ女性のからだ相談室
7月13日

乳がん

「乳がんが心配です。 胸が張ったりチクチクしたりすると、過敏になってしまいます。 乳がん以外にも胸の病気ってあるのでしょうか?」
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質問 「乳がんが心配です。 胸が張ったりチクチクしたりすると、過敏になってしまいます。 乳がん以外にも胸の病気ってあるのでしょうか?」

がん(腫瘍)は、一晩でできるようなものではありません。若いと進行が早い傾向はありますが、がんの成長にも段階があります。もし乳がんが原因で、胸にひきつれが見られたり痛みを感じたりしたら、それはかなり進行した段階です。
 でも、年に1度の検診をきちんと受けていれば、そこまで進行することは稀です(ゼロではありません)。

 胸の違和感は、肋間神経痛(肋骨にそって痛みが出る神経痛)や筋肉痛であることも少なくありません。また、乳房の病気としては、乳腺症(しこりや痛みを伴う良性疾患。生理周期にあわせて出ることも多い)や乳腺炎(乳腺が詰まり母乳が溜まって起こる炎症)などもあります。「違和感=乳がん」と過敏になり過ぎなくてもいいかもしれません。

 しかし、それでも「乳がん」は30代女性で最も罹患率の高い病気であり、40~50代で発症することが多く、働き盛りの女性が最も気をつけたい病気です。日本では12人に1人が乳がんになっている現実があります。
 早期発見のためには、検診が欠かせません。日本の乳がん検診の受診率はわずか41.0%。
米国の80.8%、英国の75.9%に比べても極端に低い※1>。海外では発生率が高くても死亡率は低いです。これは乳がんが早期発見できれば命を落とさずに済む病であることを意味しています。

 乳がんの初期検査方法には、胸を押しつぶしてX線を用いて撮影する「マンモグラフィー(マンモ)」と、医師がハンドスキャンを乳房にあてながら画像を診る「超音波検査(エコー)」の2種類があります。乳がん検診として一般的なのは「マンモ」です。
 それぞれ、何をチェックしているかというと、「マンモ」では"石灰化"の有無を、「エコー」では"しこり"の有無を確認していきます。"石灰化"とは、がんの副産物で、しこりが認められないタイプの乳がんを見つけられることがあります。
 しかし「マンモ」の短所は、人によっては痛みを伴うこと、乳腺濃度が高い人(一般的に若い人のほうが高い)では誤影が写りやすいこと。そのため、私が勤めるイーク表参道では聖路加国際病院ブレストセンターのアドバイスを元に、35歳以下の人には「エコー」をおすすめしています。
 一方、「エコー」の短所は、検査する医師や技師の力量に左右されること。ハンドスキャンのあて方や画像の読み取り方に技術が必要です。
 どちらかの検査で異常が見つかると、もう片方の検査もするケースが多く、それでも疑いがある場合は「細胞診」や「組織診」などの精密検査を行うことになります。

 先日、日経新聞でも「痛みのない新しい乳がん検査技術が開発され、2020年ごろの実用化を目指す(日立製作所と北海道大学の共同研究)」と報道されましたが※2、技術開発は日進月歩。新しい検査方法が登場すれば一層、検査を受けやすくなるかもしれません。

 まずは、年に1度の検診、そして、検査結果をしっかり生かすこと。精密検査を進められた場合は、自分なりに信頼できる医療機関で再受診してください。
 ちなみに、出産後が落とし穴で、授乳期と検診時期が重なると、1年以上検査を見送ってしまう人が多いです。育休などで休職中でも、会社の検診時期に合わせて検査を受けましょう。

結論 30~50代の働き盛りの女性が最も気をつけるべきは「乳がん」です。 1年に1度の検診をきちんと受けていれば 過敏になり過ぎなくてもいいでしょう。 胸の違和感には、神経痛や筋肉痛、生理周期にともなう良性疾患もあります。
医学博士・産婦人科専門医
スポーツドクター
高尾美穂さん

医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター、ヨガ指導者。婦人科医療、スポーツ、ヨガの3つの柱を軸にイーク表参道で女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った選択肢を提示し、女性の人生そのものをサポートしている。