ニッキィ女性のからだ相談室
1月18日

ピルの基礎知識

「生理痛が重くて、ピルを処方してもらいましたが なんだか怖くて服用をためらってしまいます… 皆、日常的に使っているものなのでしょうか?」
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質問 「生理痛が重くて、ピルを処方してもらいましたが なんだか怖くて服用をためらってしまいます… 皆、日常的に使っているものなのでしょうか?」

 相談者のニッキィさんの気持ちは、まさに日本の"ピル"事情を物語っています。日本で日常的にピルを利用している女性はわずか6%弱※1であり、周囲を見渡しても毎日使っている女性にはなかなか出会えないかもしれません。しかし世界的に見ると、実は80%以上※2の女性が日常的にピルを利用する国もあり、生理を上手にセルフマネージメントしています。

 "ピル"とはエストロゲンとプロゲステロンの合剤です。日本では避妊薬の印象が強いため、世代が上がると特に「ピル=はしたない薬」と思う人も少なくありません。しかし、ピルには"避妊"のほかにも、生理不順の解消/出血量の軽減/生理痛の軽減/生理前の体調不良の回避、といったいくつもの作用があります。
 "副効用"と呼ばれるこれらのピルのメリットを活かして、ビジネスウーマンからトップアスリートまで、多くの女性たちが日常的に自己管理の一環として利用しているのが世界の現状です。中でも低容量ピルは、相談者のニッキィさんのように生理痛が重かったり、生理不順に悩まされていたりする女性におすすめしたい対処法です。

 「なんだか怖い...」という気持ちは、正しい知識をつけることで解消していきましょう。
 まず、ピルの中身は何かというと、前述の通り『エストロゲン』と『プロゲステロン』という2つの女性ホルモンです。ピルは、この2つのホルモンを摂取することで体内のホルモン量をある程度均一に保つ薬です。
 では、ホルモン量を均一に保つと体に何が起こるかというと、体が「十分にホルモン量が保たれているから排卵を起こすようなホルモンの分泌は必要ない」と認識し、排卵が起こりません。ホルモン量の増減がなく安定した状態が続くおかげで、イライラやだるさなど生理前症候群(PMS)が和らぎ、生理がきた時にも出血量や生理痛を抑えられます。そして、ピルを飲み続けている間は、ホルモン分泌が減少した時に起こる子宮内膜の剥離すなわち"生理"が起こりません。
 実際にピルはどのように服用するかというと、生理の1日目から5日目の間に"毎日1錠をできるだけ同じ時間に飲む"ことを始めます。基本的に"21日間続けて飲んで、7日間飲まない"というサイクルを繰り返します。飲まなくなった22日目から体の中ではホルモン量が減少していき、3〜4日後に普通に生理がくるというわけです。「飲み忘れても24時間以内なら大丈夫」と言われる理由も、体内のホルモン量が減りきらないうちに補えば出血は起こらないからということです。

 このように、体内のホルモンの量をコントロールすることで、ホルモンの増減による不調や生理周期をコントロールすることができるのが、ピルのメリットです。生理が順調で痛みや悩みがない人は飲む必要はありませんが、毎月の生理が憂鬱で辛い人は、婦人科医に相談してください。
 飲み始めは、気持ち悪くなったり、むくんだり、食欲がアップしたり、いわゆる"つわり"のような症状が出ることもありますが、ほとんどの人が3サイクル(約3カ月)以内に解消します。体質に合わなければ違う種類のピルを試してもいいでしょう。

 若いうちからピルを飲むことが更年期障害への対策にもなるというメリットもあります。ただし、ピルを飲み始める年齢は基本的に30代まで。なぜ年齢に制限があるのかなど、ピルについて次回もう少し詳しくお話していきます。

※1 日本家族計画協会調べ
※2 Rechichi et al,2008

結論 日本ではまだ少ない“低容量ピルの日常使い”ですが、世界ではスタンダードです。 生理で辛い思いをしている人は 婦人科医の処方のもと、怖がらず、しばらく試してみてください。 はじめは不快な症状があっても、3サイクル(約3カ月)以内には落ち着きます。
医学博士・産婦人科専門医
スポーツドクター
高尾美穂さん

医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター、ヨガ指導者。婦人科医療、スポーツ、ヨガの3つの柱を軸にイーク表参道で女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った選択肢を提示し、女性の人生そのものをサポートしている。