ニッキィ女性のからだ相談室
2月 8日

ピルとホルモン補充療法

「ピルが生理不順にいいだけでなく飲んでいると更年期障害が軽くなると聞き、興味がわきました。現在、41歳ですが飲み始めたほうがいいでしょうか?」
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質問 「ピルが生理不順にいいだけでなく飲んでいると更年期障害が軽くなると聞き、興味がわきました。現在、41歳ですが飲み始めたほうがいいでしょうか?」

 1月の〈ピルの基礎知識〉に引き続き、ピルについて解説していきます。

 ピルは病院で処方される薬ですが、いくつか種類があります。主な違いは、1錠に含まれる成分の配合量/処方されているプロゲステロンの種類(4種類あります)/1シートの錠剤数(21日分か28日分かなど)、です。

 ピルに配合されるエストロゲンの量は20μg(超低量ピル)から50μg(中用量ピル)まであり、最も一般的なピルは30〜35μgで『低用量ピル』と呼ばれます。低用量ピルは1999年に厚生労働省により認可され、医師の処方箋があれば10代からでも服用できる薬です。妊娠を望むまでずっと飲み続けても問題ありませんし、途中でやめてまた飲み始めることもできます。

 ただし、ピルには"飲み始めの年齢"に限りがあり"40歳を超えてから飲み始めることはできない"というのが通例となっています。そのため相談者のニッキィさんに一般的にはピルの服用をおすすめできません。事情によりどうしても...という場合は、婦人科医とよく相談してみてください。

 では、なぜ40歳以上にピルをおすすめできないのか? それはピルに含まれるホルモンが肝臓で代謝され血液凝固機能に影響を及ぼすため、『血栓』が発生しやすくなるからです。血栓は心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす原因になります。産後や妊娠中も血栓ができやすいことが知られています。ピルによる血栓のリスクは産後や妊娠中よりは低いものの、飲み始めの1カ月間は最もリスクが高いため、使用開始時の年齢に制限が設けられています。また、喫煙者や肥満、高血圧の人も血栓のリスクが高いため処方できないケースが多いです。

 相談者のニッキィさんのように「ピルの処方が難しい年代だけれど更年期障害の対策をしたい」という人には『ホルモン補充療法』があります。詳しくは11月の〈更年期〉の回も参考にしてください。ピルとホルモン補充療法はどちらも、女性ホルモンを補うものですが、ホルモンの細かな種類や量が異なります。ホルモン補充療法では低容量ピルの6分の1ほどに効果がおさえられていますが十分有効で、40・50代でも安心して服用できます。

 もし、あなたが20・30代で、生理不順や生理前症候群(PMS)、月経困難症に悩まされているのであれば『低容量ピル』を利用してみることをおすすめします。また、いつかくる更年期の症状を緩和するためのホルモンコントロールとして飲み始めておくのも、賢い選択でしょう。40歳以上であれば、低容量ピルではなく『ホルモン補充療法』で対処していくとよいでしょう。

 いずれにせよ、せっかく医療が発達している現代。毎月やってくる生理の憂鬱や、いずれ必ずやってくる更年期の煩わしさを、無理に我慢することはありません。大事なプレゼンの日に生理が当たらないようにして万全の体調で臨む、生理が終わった爽快な時期に温泉旅行へ行くなど、低容量ピルを使用して月経周期をコントロールすることで、日々の仕事もプライベートも快適にできます。生理をマネジメントしてコンディションを整えることは、いわば「QOL(クオリティオブライフ)」のためのセルフマネジメントです。女性が長くイキイキと働き続けるために有効な手段を正しく知り、上手に活かしていきましょう。

結論 40歳以上の女性には『低容量ピル』はおすすめできません。更年期障害への対処には『ホルモン補充療法』がよいでしょう。いずれにせよ、QOL(クオリティオブライフ)向上のためにもホルモンのコントロール方法を上手に取り入れて、快適に生活していきましょう!
医学博士・産婦人科専門医
スポーツドクター
高尾美穂さん

医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター、ヨガ指導者。婦人科医療、スポーツ、ヨガの3つの柱を軸にイーク表参道で女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った選択肢を提示し、女性の人生そのものをサポートしている。