ニッキィ女性のからだ相談室
9月20日

眠る意味

「なかなか疲れが取れません。 以前は週末にたっぷり寝れば元気になったのに……。歳のせいでしょうか?」
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質問 「なかなか疲れが取れません。 以前は週末にたっぷり寝れば元気になったのに……。歳のせいでしょうか?」

 「疲れが取れない」と言う人に「睡眠時間はどのくらいとっていますか?」と聞くと、「毎日5〜6時間はちゃんと寝ています」という答えがよく返ってきます。それでは十分ではなく、私たち働く年代に必要な睡眠時間は最低でも6時間、理想は7〜9時間です※。寝溜めもよくありません。疲れやすいのは年齢のせいではなく、眠りに原因があるかもしれません。

 健康の三大要素は「食べる・動く・休む」です。そもそも動物は食べないと生きていけませんが、休まなくても生きてはいけません。断眠を続けるとマウスが死んでしまうという研究報告もあります。人間の不眠記録には約11日間というギネス記録があります。ただ、これも正常なまま起きていられたわけではありません。
 アスリートにおいては、バスケット選手たちの実験で「6時間睡眠の選手群」と「好きなだけ眠った選手群」とでは、後者のほうがフリースローなどの精度が上がることがわかっています。睡眠不足が健康や仕事のパフォーマンスに支障をきたすことは明らかです。

 近年は睡眠に関する研究も進み、睡眠の専門医もいます。しかし、なぜ生きていくために睡眠が必要なのかはまだ解明中です。
 眠りのメカニズムとして、体内には一定の量に達すると眠りを誘発する物質が数十種類あり、睡眠をとることでそれらの物質の蓄積がリセットされることがわかっています。また、動物は本来「1日25時間」という体内時計をもっているので、1日24時間という社会のサイクルに合わせるために、光や食事で睡眠のサイクル調整をしていると考えられています。

 女性にとっては、生理と睡眠の関係も身近です。生理前に眠たくなったり、寝つきが悪くなったりすることは皆さんも経験から感じていることでしょう。これは生理によって体温が0.3〜0.6度上がることが影響しています。体温が高い状態が続くと、ぼんやりしたり眠くなったりします。また、人は体温が下がっていく時に眠りに入りやすいことがわかっています。基礎体温が高い状態ではその落差が生じにくいため、寝つきが悪くなってしまうのです。うつ病の人もベースの体温が高い傾向にあり、そのせいで慢性的な入眠困難に陥ることが知られています。

 眠り始めが肝心で、入眠後1〜2時間に深い眠りをしっかり得られるかどうかが睡眠の質を左右します。就寝前に温かい飲み物を飲んだり、ぬるめのお風呂に入ったりして体温を上げ、意図的に体温落差を作ってみてください。また、心拍数が下がることで副交感神経を優位な状態にすることも入眠には大切ですので、布団の中でゆっくり深呼吸することもおすすめです。毎日心地よく眠れるようになるだけで、疲れが和らぐと思います。

 現代社会のなかで、働く女性が睡眠とどう付き合っていくべきか、いい眠りをどうやって手に入れるか。次回、私自身の経験も交えてもう少しお話ししていきます。

※National Sleep Foundation in USA 2015

結論 疲れの原因は、睡眠にあるかもしれません。 理想の睡眠時間は人それぞれですが、1日8時間を目指してみてください。 就寝前の「体温コントロール」で心地よく眠りにつきましょう。
医学博士・産婦人科専門医
スポーツドクター
高尾美穂さん

医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター、ヨガ指導者。婦人科医療、スポーツ、ヨガの3つの柱を軸にイーク表参道で女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った選択肢を提示し、女性の人生そのものをサポートしている。