ニッキィ女性のからだ相談室
10月11日

快眠のコツ

「近頃よく眠れません。ぐっすり眠るためにはどうしたらいいですか?」
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質問 「近頃よく眠れません。ぐっすり眠るためにはどうしたらいいですか?」

 この数年、睡眠への関心は高まっています。睡眠が仕事のパフォーマンスや健康維持に重要な役割を果たしていることは、前回お伝えしました。理想的な睡眠時間は8時間です。しかし働き盛りのニッキィさん世代が、毎日8時間の睡眠を確保するのは簡単ではないでしょう。

 厚生労働省の調査では睡眠時間が6時間未満という人の割合は36.9%にのぼります※1。OECD(経済協力開発機構)によると日本人の1日の平均睡眠時間は442分(7時間22分)で、これはOECD加盟36カ国の中で最も短いです※2。ちなみに、米国人は525分(8時間45分)、フランス人は513分(8時間33分)と先進各国の睡眠時間は軒並み長い結果となっています。

 日本人女性の世代別の睡眠時間は、かつて40代が最短でしたが、今は50代です※3。この世代は自分の睡眠時間を削ってでも働いたり、活動したりする人が多いようです。身に覚えのあるニッキィさんもいるのではないでしょうか? また、幼い子供を育てながら仕事をする30代女性にも、慢性的な睡眠不足の人が多いです。
 
 そうした中で十分な睡眠時間を得るために何をすればいいのか。まずは発想を変えることです。1日活動して「残った時間が睡眠時間」ではなく、睡眠を確保するために「起きている時間の使い方を考える」という逆算の発想が必要です。

 円グラフを用意し、睡眠時間を確保したうえで自分にとって理想的な24時間の使い方を書き出してみてください。そこから、ベストなAパターンとベターなBパターンの2つを想定しておきます。急な残業や会食が入ったら「今日はBパターンだな」と計画を変更して行動。無駄な夜更かしや睡眠不足が減ります。

 また、睡眠の深さや時間を測定し記録できる睡眠管理アプリを利用するのもおすすめです。寝ている間の自分の状態を知ることはそれだけでも興味深いですし、眠りを意識するようになります。私も睡眠管理アプリなどを使って、楽しみながら快眠を目指しています。

 私が睡眠を意識するようになったのは30代後半。産婦人科医として大学病院に勤務していた頃です。産婦人科医の仕事は妊婦さんのお産が始まればすぐに対応しなければいけないため、当直の日はほとんど眠れないまま翌日勤務が始まります。私は自分が短時間睡眠でも十分なショートスリーパーだと思っていたので苦に感じていなかったのですが、30代後半から、体調を崩すと回復が遅くなりました。原因を考えていくと、不規則な睡眠の影響が大きいことに行き当たりました。

 睡眠不足とがんの関係は以前から知られています。医師や看護師、アナウンサー、交通インフラを支える人など、今の社会には不規則な時間帯で勤務する人が必要ですが、シフトワーカーに乳がん患者が多いことも事実です。私自身「この生活をいつか変えなければ・・・・・・」と思いながらも「産婦人科医としてお産をやらない」と決断することが、なかなかできませんでした。今はお産の対応をしないクリニックをホームグラウンドにし、仕事場と家との距離を縮め、仕事も睡眠も自分の趣味の時間も確保できる生活環境を選択しています。おかげで心身ともにとても快調です。

 睡眠のために転職や引っ越しをするべきとは言いませんが、働き方や暮らし方を変えてでも大切にするべきもののひとつが睡眠であることは、間違いありません。正しく眠ることは、正しく生きることにつながります。

※1 2016年 ※2 2018年 ※3 NHK国民生活時間調査2015

結論 余った時間が眠る時間ではありません。 睡眠時間ありきで、1日の時間の使い方を考える「逆算」が必要です。 働き方や暮らし方を見直しながら、いい眠りを手に入れましょう。
医学博士・産婦人科専門医
スポーツドクター
高尾美穂さん

医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター、ヨガ指導者。婦人科医療、スポーツ、ヨガの3つの柱を軸にイーク表参道で女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った選択肢を提示し、女性の人生そのものをサポートしている。