ニッキィ女性のからだ相談室
2月14日

交感神経と副交感神経

「緊張とリラックスには、交感神経と副交感神経が関係していると聞きます。うまく切り替える方法はありますか?」
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質問 「緊張とリラックスには、交感神経と副交感神経が関係していると聞きます。うまく切り替える方法はありますか?」

 前回に引き続き「自律神経」のお話です。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあります。交感神経がアクセル役でアクティブモードに、副交感神経はブレーキ役でリラックスモードにする役目を、それぞれ果たしています。
 この2つがスイッチのように切り替わるものだと思っている人も多く、また「仕事中は交感神経7:副交感神経3」「休日は交感神経2:副交感神経8」というようなイメージを持っている人も多いようですが、交感神経と副交感神経はどちらかだけになるものではなく、また足して10になる陣取りゲームのようなものでもありません。どちらも高めることができ、両方高い状態をつくれるようになることが理想です。

 例えばサッカーのPKでは、ゲームに集中する緊張感が不可欠である一方、緊張せずいつも通りボールを蹴るリラックスした平常心も必要です。トップアスリートたちには、交感神経も副交感神経もどちらもうまく高めることができる人が多くいます。私たちの仕事でも、頑張りながらもリラックスが必要な場面があります。交感神経と副交感神経をうまく切り替えるのではなく、どちらもうまく高めていくことが、いいパフォーマンスにつながります。

 しかし現代人は、交感神経が高い状態にはなりやすいですが、副交感神経を高めることは得意ではありません。交感神経はイラッとするだけで高まります。例えば、満員電車で知らない人と至近距離で過ごすだけでも交感神経は高まります。交感神経だけが優位な状態が長く続くと体の不調につながります。

 交感神経が優位な状態になると体にどんな変化が起こるのか、具体的にみていきましょう。まず、血管が収縮します。血管が細くなると、ホースが細くなると水圧が高くなるように、血圧が上昇します。同時に心拍数も増えます。そして血管の収縮が続き、血流量が減ると、手足の冷え、内臓機能の低下を引き起こします。腸は血管が多いため特に影響を受けやすく、便秘や下痢などが起こりやすくなります。卵巣への血流量が減少すれば卵巣の機能も低下し、ホルモン分泌量の低下により妊娠成立・妊娠の継続は難しくなります。このほか、鼻の穴や気管、瞳孔が開き、口が乾くことなども交感神経が優位な時の特徴です。

 これらの変化が起こる理由は、動物にとっての交感神経の役割を考えると理解しやすいです。じつは動物は通常、副交感神経が優位で、サバンナで横たわる動物のようにリラックスして過ごすのが基本です。しかし敵が来た時や狩りをする時には、生き延びるために体をアクティブにしなければいけません。その時にだけ交感神経が優位な状態になります。
 運動能力を上げるために心臓の動きを活発にし、酸素を多く取り入れる準備をします。視覚情報も大切で光を取り入れるために瞳孔が開きます。その一方で、体を動かす際に不要な消化機能は低下。そのため唾液の分泌は減り口が乾くのです。このように交感神経は、動物にとって生命維持に直結する欠かせないものです。

 本来このような緊迫した時に働く交感神経だけが常に優位な状態であることは不自然で、それが現代人のさまざまな不調の原因になっています。交感神経が高く副交感神経が低い状態が続くと、交感神経を優位にする能力も次第に落ちていく傾向があります。両方が低くなると無気力になり、引きこもり、うつなどにつながることも問題視されています。

 心身の健康のためには副交感神経を高める方法を身につけておくことがカギとなります。次回、副交感神経の上手な高め方をご紹介します。

結論 切り替えではなく、交感神経と副交感神経のどちらも高めましょう。良い仕事やパフォーマンスをするためには、どちらも大切です。
医学博士・産婦人科専門医
スポーツドクター
高尾美穂さん

医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター、ヨガ指導者。婦人科医療、スポーツ、ヨガの3つの柱を軸にイーク表参道で女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った選択肢を提示し、女性の人生そのものをサポートしている。