ニッキィ女性のからだ相談室
5月16日

骨とカルシウム

「年を取ると顔の骨が減るって本当ですか!?」
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
質問 「年を取ると顔の骨が減るって本当ですか!?」

 衝撃的な話ですが、本当です。減るだけでなく、あったはずの骨が消えてしまうこともあります。
 年齢とともに体全体の骨量は減っていきます。手や腕の骨がもろくなるのと同じように顔の骨も減少します。顔を構成する骨は複雑で、なかにはとても小さい骨や細い骨もあり、とくに目の下の骨やあごの下の骨は非常に薄いため、減るだけでなく骨の一部が消えてしまうことがあるのです。
 高齢になって顔つきが変わる人は、顔を支えていた骨の一部がなくなり、全体が大きくたるんだり、目がくぼみ落ちたりしている可能性も考えられます。

 骨は長寿社会においてはとても大切です。高齢になってからの骨折はそのまま寝たきり状態につながる危険性があります。
 自分の力で日常生活を送れる期間を「健康寿命」と呼びますが、日本女性の健康寿命は74.79歳。平均寿命は87.14歳で、その差は12.35歳です。これは平均して12年以上も介護を受けながら生きることを示しています。人生の最後の数年を自力で自由に過ごすためには、健康な骨が不可欠です。
 ちなみに、男性の健康寿命は72.14歳、平均寿命は80.98歳。その差は8.84歳です。女性のほうが長寿で要介護期間も長い傾向にあるのは、骨のもろさが関係しており、男性以上に自分の体を若い頃からしっかりと補強やメンテナンスしておくべきでしょう。

 では、何を心がければ良いかというと、まずはなんといっても「カルシウム」の摂取です。
 昔から「骨にはカルシウム」と言われ続けているので、知識としては皆さんも知っていると思いますが、最近は新しい栄養素や健康法などの情報が多く、基本となるカルシウム摂取の重要性は忘れられがちです。
 厚生労働省が推奨する成人女性の摂取目安量は、650mg/日。諸外国に比べてこの目安量は低いと言われていますが、実際の摂取量はこれに届きません。30代女性の摂取量は平均421mg/日と大きく下回っています※。
 
 カルシウムのほかに丈夫な骨をつくるのに必要な栄養素は、2019年4月〈日光浴とビタミンD〉でも取り上げた「ビタミンD」です。骨にカルシウムを吸着させるために必要です。このほか「ビタミンK」「タンパク質」なども骨づくりに役立ちますが、優先順位としてはなによりもカルシウムであることを覚えておいてください。

 そしてもうひとつ骨づくりに大切なのが「運動」です。近年、骨を生成するには衝撃が必要であることが明らかになりました。運動量の多いトップアスリートでも、重力による負荷がかからない水泳や自転車競技の選手たちは骨が弱いことが報告されています。
 骨のためには、適度な負荷がかかるウォーキングやランニングなどの運動がおすすめです。また、顔の骨に適度な負荷をかけるためには、食事の際にしっかりと噛むことがよいでしょう。

 女性は、閉経によってエストロゲンの分泌が減るという大きな変化を迎えます。エストロゲンが減ると、骨からカルシウムが溶け出しやすくなるため、カルシウムの積極的な摂取はとても大切です。詳しくは、18年8月〈女性のQOL 健康長寿への準備〉の回も参考にしてください。

 顔の骨も体の骨も減らさないために、今一度カルシウムの摂取を心がけ、同時に運動習慣もつけておきましょう。

※厚生労働省「国民健康・栄養調査」2017年

結論 顔の骨も、体の骨も、減ります。骨づくりの基本となる「カルシウム摂取」と「運動」を心がけましょう。
医学博士・産婦人科専門医
スポーツドクター
高尾美穂さん

医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター、ヨガ指導者。婦人科医療、スポーツ、ヨガの3つの柱を軸にイーク表参道で女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った選択肢を提示し、女性の人生そのものをサポートしている。