ニッキィ女性のからだ相談室
10月10日

避けられるがん 胃がん・肝臓がん

「母が胃がんの手術を、叔母が子宮頸がんの疑いがあり再検査をしています。がんが身近な存在で不安です……。がん家系なのでしょうか?」
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質問 「母が胃がんの手術を、叔母が子宮頸がんの疑いがあり再検査をしています。がんが身近な存在で不安です……。がん家系なのでしょうか?」

 先月に続き「がん」のお話です。長生きできる時代になるほど、がんを経験する人が増えます。がんは誰にとっても無縁な病気ではありません。だからこそ知っておくべきことがあります。おさらいとなりますが、

 ●がんには「避けられるがん」がある
 ●がんは1日にしてならず=早期発見できる
 (正常な細胞ががん細胞になり、さらに発症するまでには時間がある)
 ●「避けられないがん」でもリスクは減らせる

ということを忘れないでください。

 9月の〈避けられるがん 子宮頸がん〉に続いて、感染が原因で発症する「胃がん」「肝臓がん」について解説していきます。これらも「避けられるがん」です。
 
 「胃がん」は、95%が「ピロリ菌」という細菌の影響で発症します。ピロリ菌の有無は検査で簡単にわかります。例えば、健康診断でバリウム検査と呼ばれる胃部レントゲン検査において「萎縮性胃炎」の疑いがあるとピロリ菌の検査をします。ピロリ菌が見つかると、胃の洗浄除菌を行い、ピロリ菌がゼロになったことを確認します。ピロリ菌は井戸水などから摂取されるケースがほとんどであるため、現代では一度除菌できれば、リスクはほぼ取り除けるとされています。

 「肝臓がん」は、65%がC型、15%がB型の「肝炎ウイルス」の影響で発症します。C型には抗ウイルス薬が、B型には抗ウイルス薬やワクチンがあります。検査は血液検査でわかります。少なくとも一度は検査しましょう。
 感染経路は血液や体液です。ちなみに、これまでに何らかの手術を受けたことがある人は、手術前にほとんどの場合肝炎ウイルス検査を行っています。その際に陽性であることを告げられていなければ感染していません。手術前になぜ肝炎ウイルス検査を行うかというと、手術中に血液を介して肝炎ウイルスが医師や看護師に感染するリスクをなくすためです。
 
 病気の予防とは、すなわち発症のリスクを減らすことです。2013年、米国の女優アンジェリーナ・ジョリーさんが発がんしていない段階で、両乳房を切除し、その後、卵巣と卵管を摘出したことが大きなニュースとなりました。
 彼女には、乳がん発症リスクのある原因遺伝子のうちもっともリスクの高い遺伝子が見つかり、医師や家族たちとの検討の末に決断した特別な処置でした。これはかなりのレアケースです。

 ニッキィさんのご質問にも「がん家系」という言葉がありました。少し専門的になりますが、がんと遺伝について説明しましょう。

 「遺伝性腫瘍」「高発がん性疾患」と呼ばれる体質を持つ人がいます。ジョリーさんもこの体質です。一般の人に比べて明らかに特定のがん発症率が高く、若くしてがんを発症したり、繰り返しがんになったりする可能性が高いことがわかっています。これは親から子へ遺伝する可能性があります。
 遺伝性腫瘍体質を持っているか否かは、血液による遺伝学的検査で調べることができます。しかし同時に、将来の病気の可能性や血縁者への遺伝の可能性がわかってしまうという大変デリケートなものです。専門のカウンセリングのもとで受ける特別な検査です。家族歴から考えて心配な人は、まず遺伝相談外来などのある病院へ相談してみてください。

 親族にがんを発病した人がいると「がん家系なのではないか」と心配になる人は多いです。遺伝的にがんの発症リスクを抱えているケースは上記の通りまれで、むしろ注目すべきは「同じ家族は似た生活習慣を送っている」という点でしょう。生活習慣によってがんのリスクは大きく変わるからです。
 
 次回は「避けられないがん」のリスクも下げることができる、誰でもできるがん予防のための健康習慣について具体的に紹介します。

結論 「胃がん」「肝臓がん」も「避けられるがん」です。避けましょう。 がんには遺伝的要因によるものも存在しますが、まれです。
医学博士・産婦人科専門医
スポーツドクター
高尾美穂さん

医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター、ヨガ指導者。婦人科医療、スポーツ、ヨガの3つの柱を軸にイーク表参道で女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った選択肢を提示し、女性の人生そのものをサポートしている。