ニッキィ女性のからだ相談室
5月14日

将来のリスク予想

「外出自粛生活を送りながら、健康のありがたさを改めて感じています。健康法はいろいろありますが、健康でいるために大切な基本のキって何ですか?」
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
質問 「外出自粛生活を送りながら、健康のありがたさを改めて感じています。健康法はいろいろありますが、健康でいるために大切な基本のキって何ですか?」

 健康の3大要素は「食べる・動く・休む」です。加えて「ストレス回避」も大切です。これらが健康のための基本のキといえるでしょう。この条件を踏まえ、自分でできることは避けられるリスクは避け、減らせるストレスは減らすことです。今回は、避けられるリスクについて紹介します。ストレスについては前回2020年4月の〈平常心〉を参考にしてください。

 健康を阻む病気のリスクは、現在では「現時点の健康状態」にプラスして「生活習慣・血縁関係(家族性の疾患の有無)・性差」の3つの観点から、ある程度予測できると考えられます。

 生活習慣によって予測できる最大のリスクはがんです。日本では2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで命を落としています。避けられるがんのリスクは避けるべきです。
 ①偏った食生活②運動不足③喫煙④多量の飲酒⑤太りすぎ・痩せすぎの5つの生活習慣によって、がんのリスクが高まることがわかっています。逆にこれらの生活習慣を改めれば、がんのリスクは低くなるといえます。
 例えば飲酒。外出自粛が続き、家でお酒を飲む量が増えている人はいませんか? 多量の飲酒は食道がんや大腸がんのリスクを高めます。女性は乳がんや早期の肝硬変になるリスクも高まります。ワイン(アルコール度数12%)ならグラス2杯弱/約200ミリリットル、チューハイ(同7%)なら1缶/350ミリリットル、ビールなら中瓶またはロング缶1本/500ミリリットル程度が1日あたりの摂取量の目安です。女性はこの半量が適量ともいわれます。飲酒がストレス解消になる人もいるとは思いますが、ほどほどにしましょう。
 また、あまり知られていませんが、熱い飲食物を熱々のまま取ると、食道炎や食道がんのリスクが高まります。少し冷ましてから食べるようにしましょう。
 がんのリスクについては2019年9月、10月、11月の〈避けられるがん/避けられないがん〉も参考にしてください。

 血縁関係から予測できるのは、家族や親族がかかった病気に自分もかかりやすいかもしれないリスクです。
 医学の進歩により、遺伝性腫瘍や家族性アルツハイマー病など原因遺伝子が明らかになっている病気もあります。しかし、これらはまれなケースです。同じ家族は似た生活習慣を送るので、むしろ食生活や運動習慣などの影響が大きいでしょう。例えば、濃い味付けを好む家庭で慢性的に食塩の摂取量が多くなっていれば、胃がんや高血圧、循環器疾患のリスクが高まります。スポーツが好きな家庭で日常的に運動する習慣があれば、がんや高血圧、糖尿病などの生活習慣病のリスクが下がるだけでなく、筋力低下による将来のロコモティブシンドローム(運動器疾患)なども避けられるでしょう。
 
 性差によって予測できるリスクでは、例えば関節リウマチが女性に多く、痛風は男性に多いというように、性別によって発症しやすい病気としにくい病気があります。女性がとくに気をつけたいのは、乳がんや子宮頸がんなど女性特有のがん。そして閉経後に急激にリスクが高まる骨粗しょう症、高脂血症、動脈硬化です。詳しくは左上のメニューバーから閲覧できる〈イベントレポート〉ページの2019年6月の『自分の体と向き合おう! 女性の体を徹底分析』で紹介していますので、ぜひ読んでみてください。

 今回紹介した将来のリスク予測は、医学の研究が進んだ現代だからわかることで、多くが自分の行動によって回避できるリスクでもあります。将来のリスクを知ったうえで、生活習慣を変えるか変えないか、どう判断するかは自分次第です。そして、その結果を受け止めるのは未来の自分です。自分の頭で考え判断する習慣、その責任を自分で受け止める潔さも、健康に自分らしく生きるためのとても大切な要素です。
 

結論 食べる・動く・休む・ストレス回避が健康の基本。避けられる病気のリスクを避けるため、リスクを知り、自分で判断して生活習慣を変えましょう。
医学博士・産婦人科専門医
スポーツドクター
高尾美穂さん

医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター、ヨガ指導者。婦人科医療、スポーツ、ヨガの3つの柱を軸にイーク表参道で女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った選択肢を提示し、女性の人生そのものをサポートしている。