ニッキィ女性のからだ相談室
8月 6日

汗と臭い

「汗っかきなのが悩みです。特に夏場は臭いも心配・・・・・・。汗をかかない方法ってありますか?」
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質問 「汗っかきなのが悩みです。特に夏場は臭いも心配・・・・・・。汗をかかない方法ってありますか?」

 汗をかくことは私たちのカラダに備わる大切な機能です。汗をかかない、ではなく、いい汗をかくことを目指しませんか? 汗の機能や種類について知り、いい汗をかけるカラダをつくりましょう。

 汗には「温熱性の発汗」「精神性の発汗」「味覚性の発汗」の3種類があります。今回詳しくお伝えしたいのは温熱性と精神性の発汗です。ちなみに味覚性の発汗は辛いものや酸っぱいものなどの刺激物を食べたときに起こる発汗反応です。

 最も量が多く重要な役割を担っているのが温熱性の発汗で、運動時や発熱時などに熱がこもったカラダを冷やすために出る汗です。カラダの表面に汗を出し蒸発させることで熱を体外へ逃がし、体内の温度を下げる働きをしています。この汗が出る「エクリン腺」という汗腺は手のひら、足の裏、額を除く全身に200万〜500万個あり、その一部が汗をかく力のある「能動汗腺」として機能します。能動汗腺の数は生まれてから1〜2年で決まるといわれ、生まれ育った環境によります。暑い地域で暮らす人は多く、寒い地域で暮らす人は少ないです。

 この汗は血液の一部である血漿(けっしょう)からつくられ、もともとはミネラルを含んでいます。しかしカラダは有益なミネラルを体内に留めようとミネラル成分を再吸収し、残った水分だけを汗として排出します。そのため99%が水で、蒸発させることが目的のためサラサラとしています。臭いもなく体内の水分の巡りをよくしてくれる、いい汗です。

 気をつけたいのは大量の汗をかいたときです。私たちのカラダは1時間に2リットルもの汗をかくことがあります。短時間で大量の汗をかくとミネラルの再吸収が間に合いません。すると、ベタついた汗になり臭いを伴いやすくなります。そのうえ、ミネラルが汗とともに体外へ排出されてしまうため、夏バテのようなだるさや熱中症などを引き起こすことがあります。大量の汗をかいたときや代謝のいい人は、水分だけでなく塩分(ナトリウム)などのミネラルを同時に補給するようにしてください。

 精神性の発汗とは、緊張したりストレスを感じたりしたときに出る汗で、ミネラルや脂質を多く含み、臭いも強いです。主に「アポクリン腺」という毛穴の根元にある汗腺から出ます。この汗腺は手のひらや足の裏、脇の下、額に多いです。

 興味深いのは、このアポクリン腺が手のひらや足の裏のなかでも、シワの谷間ではなく表面部分に多く存在しているということ。これは人間の遠い祖先たちが木の上で生活していた頃、敵と戦う臨戦態勢のなか落下しないよう手足の表面を湿らせる必要があったことに由来します。また、アポクリン腺から出る汗の臭いはフェロモンとも言われ、種族によって異なります。この臭いによって敵か味方かを嗅ぎ分けていたと考えられています。現代人にとっては不快なじっとりした汗にも大切な役割があったのです。

 以上のように汗による臭いは、精神性発汗やミネラル過多な温熱性発汗、そして汗が肌表面の皮脂と混ざり合うことなどで発生します。そのほかに加齢や体内の活性酸素が多くなることでも臭いは強くなります。また、動物性食品過多の食生活を送っていると、アンモニアやインドールなどの臭素が出やすくなります。

 すぐにできる対策としては、汗をかいたらできるだけ早く洗い流したりふき取ったりすることです。汗拭きシートや着替えの服を準備しておくなどが現実的な対策でしょう。

 最後に、いい汗をかくための汗腺トレーニングを紹介します。おすすめは半身浴です。ゆっくり汗をかいたら拭き取り、再び自然に出てくる汗を待つ。これを繰り返します。汗をかいたカラダを冷房や水風呂などで急激に冷やすのは、汗腺トレーニングとしては逆効果。水分を補給しながら、じんわりと出てくる汗を待ちましょう。エクリン腺の能動汗腺を増やすことができ、汗の多い季節でも臭いのないサラサラしたいい汗をかけるようになります。

結論 汗はカラダにとって必要なものです。 臭いのない、いい汗をかけるように半身浴で汗腺トレーニングをしましょう。 大量の汗をかいたときには、水分と一緒にミネラルの補給も忘れずに。
医学博士・産婦人科専門医
スポーツドクター
高尾美穂さん

医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター、ヨガ指導者。婦人科医療、スポーツ、ヨガの3つの柱を軸にイーク表参道で女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った選択肢を提示し、女性の人生そのものをサポートしている。