ニッキィ女性のからだ相談室
9月10日

目と視力

「在宅勤務が明けて久しぶりに通勤したら、駅の電光掲示板の文字がよく見えず、視力の低下にショックを受けました。40代前半です。老眼でしょうか?」
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質問 「在宅勤務が明けて久しぶりに通勤したら、駅の電光掲示板の文字がよく見えず、視力の低下にショックを受けました。40代前半です。老眼でしょうか?」

 新聞などの近くの文字が読みづらい、パソコンの数字が判別しづらい、薄い色の文字が読みにくいなどに心当たりがあれば、老眼かもしれません。老眼は40代から始まる人が多いです。自粛生活でパソコンやスマートフォンの画面、テレビなどを見る時間が長くなっていませんでしたか? 同じ距離のものばかりを見続けることも視力の低下につながります。急激な視力の変化を感じた場合は、別の病気も考えられますので一度眼科へ行くことをおすすめします。老眼か否かも眼科でわかります。

 私たちは8割以上の情報を視覚から得て暮らしています。見えて当たり前と思っていますが、年齢とともに確実に目の機能は低下し、視力・視野・色覚のいずれも少しずつ失われます。

 視力の低下、いわゆる老眼は水晶体(すいしょうたい)という瞳の正面についているレンズが老化によって硬くなり、ピント調節がなめらかにできなくなることで起こります。近視の人は老眼を自覚しにくいことがありますが、誰にでも水晶体の硬化は起こります。
 水晶体が濁ってしまうのが白内障(はくないしょう)です。アトピーや糖尿病の影響で発症することもありますが、多くの場合は加齢と紫外線が原因です。多少の差はあるものの80代になるとすべての人に白内障は起こるといわれています。

 視野の狭まりは緑内障(りょくないしょう)や網膜(もうまく)の病気などにより起こります。健康診断の眼圧検査はこれらの異変がないかを調べるものです。網膜には1億以上の視神経があり、この神経を通じて脳に信号が送られて見える状態になります。眼圧が上がり過ぎると視神経に障害をもたらし視野が欠けてしまいます。
 緑内障も年齢とともに増える病気で、一度視神経に障害が起こると手術でも回復できないため早期発見が大切です。健康診断では視力だけでなく眼圧の検査も受けましょう。

 色覚は網膜にある赤・緑・青を感じ取る3種類の錐体(すいたい)細胞が刺激されることで、色を認識する機能です。この3種類の錐体細胞のうち、赤を感じ取るL錐体はあまり減りませんが、青を感じ取るS錐体はもともと少ないうえに欠損しやすく、それを止める手立てはほぼありません。
 色覚異常は先天性が多く、男性は20人に1人、女性は500人に1人の割合で起こります。後天性の色覚異常は白内障などの目の病気によって起こることが多いです。

 視覚は少しずつ衰えていくため変化に気づきづらいですが、長い人生のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)に欠かせません。視力・視野・色覚が失われると身体的機能は4割下がるといわれています。視覚の低下により、段差が見えなくなる、転ぶ、骨折する、寝たきりになる、といった連鎖も起こります。白内障による視覚障害がある人の方が、ない人に比べて認知症リスクが高いこともわかっています。

 視覚の低下を防ぐためには、まずパソコンやスマホなどを見る時間を減らすことです。同じ距離のものばかりを見続けず、時折遠くを見るようにしましょう。眼球をぐるぐると動かす目の体操や、体全体の血の巡りを良くする運動もおすすめです。水晶体を硬くする紫外線から目を守ることも忘れずに。
 目の老化は避けることができません。見えることが当たり前でなくなる時が誰にでも必ずきます。快適に見える状態が長く続くよう、できることはやっておきましょう。

結論 老眼は40代から始まり、視界が濁る白内障には80代では100%の人がなります。視覚は長い人生のQOLを左右します。健康診断で目の健康もしっかりチェックし、日頃から目に負担をかけすぎないようにしましょう。
医学博士・産婦人科専門医
スポーツドクター
高尾美穂さん

医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター、ヨガ指導者。婦人科医療、スポーツ、ヨガの3つの柱を軸にイーク表参道で女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った選択肢を提示し、女性の人生そのものをサポートしている。