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4月 5日

先行き不安、景気に影 3月日銀短観 保護主義・資源高...身構える企業(4月2日付夕刊1面、3日付朝刊3面、4日付朝刊5面)

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 4月2日、3月の日銀短観が発表され、日経では当日の夕刊1面や翌日の朝 刊3面などでその内容を報じました。企業経営者の景況感がやや悪化している こと、人手不足が一段と深刻化していることなどが明らかになりました。

 日銀短観とは、正式名称を「全国企業短期経済観測調査」といいます。日本 銀行(日銀)が年4回調査・発表する、注目度の高い景気指標です。  大きな特徴は、企業経営者に対するアンケート調査を基にしている指標だと いうことです。自社の業況は良いのか悪いのか、設備投資の増減はどれぐらい かなどを全国1万社以上の企業経営者に調査し、その結果を企業の規模や業種 別に集計します。そのため、景気に対する経営者の実感を反映したデータとい えます。また、調査実施から発表までの期間が比較的短いため、直近の景気動 向を示したデータとしても注目されます。

 日銀短観ではいくつかの指数を公表します。特に注目度が高いのが業況判断 指数(DI)。景況感を「良い」「さほど良くない」「悪い」の3つの中から 答えてもらい、「良い」の割合から「悪い」の割合を引いた数値です。今回の 大企業・製造業のDIはプラス24で、前回の17年12月調査に比べて2ポ イント低下。8四半期ぶり悪化です。  製造業の景況感が悪化しているのは、為替相場が円高基調になっていること と、原油など資源価格が上昇していることが背景にあります。円高は自動車を はじめとする輸出産業の収益を圧迫しますし、原料や燃料として用いられる資 源が値上がりすれば、多くの製造業にとってコスト上昇を導くからです。  またトランプ米大統領が、自国の利益を最優先する保護主義の外交政策を強 めており、日米間の貿易に中長期的な影響を及ぼす可能性があります。これも 輸出産業の景況感に影を落としているようです。

 もう一つの収益圧迫要因は、深刻な人手不足です。日銀短観では、人員は余っ ているのか、あるいは足りないのかを示した「雇用人員判断指数(DI)」を 発表しており、数値が低いほど人手が不足していることを示します。4日付の 記事で伝えているように、今回は主要28業種のうち、じつに11業種が統計 開始以来の最低を記録。非製造業では宿泊・飲食サービスや運輸・郵便、製造 業では自動車や鉄鋼、非鉄金属などが特に深刻になっています。

 人手不足にいかに対応していくかは、現在の日本企業に共通の課題です。人 材獲得のため、賃金を引き上げる企業が増えていますが、人口減少が続いてい るだけに人手不足解消は容易ではありません。一方で、賃上げは個人消費に好 影響を与えるなど、経済全体への波及効果を期待できる面もあります。  人手不足が企業業績や景気に中長期的にどのような影響を及ぼしていくかは、 今後の大きな注目点といえます。(waka)

経済ライター
若槻基文さん

大学卒業後、編集制作会社を経て独立。経済・金融・金銭教育分野を中心に、小学生向けからシニア向けまでさまざまなコンテンツ執筆を手掛けている。オフィステクスト代表取締役。