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4月12日

5G・IoTに200億円 KDDI、新興企業に投資 楽天参入への対抗急ぐ(4月6日付朝刊14面)

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 4月6日付の日本経済新聞朝刊で、通信大手KDDIが「スタートアップ」 と呼ばれる新興企業への投資を拡大する方針であることを報じていました。  スタートアップ企業とは一般に、独自の技術力や発想力を武器に、イノベー ションを生み出すことにチャレンジしている創業まもない企業を指します。記 事でも紹介しているように、KDDIは以前からスタートアップ企業への投資 に力を入れていました。

 日本の携帯電話市場はNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの3 社による寡占状態が続いていましたが、このほど楽天が参入を表明。今月9日 には総務省から参入認可を受けました。4社による新たな競争が始まることに なります。楽天はネット通販サイト「楽天市場」を中心に膨大な顧客基盤を持っ ており、携帯電話事業単体ではなく、電子商取引(EC)などと組み合わせた 新しいビジネスで競い合うことになりそうです。

 今回、KDDIがスタートアップへの投資をさらに強化するのは、次世代通 信規格「5G」やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」、「人工知能 (AI)」などの分野で独自の技術を持つ企業と組むことで、新ビジネスを生 み出し、楽天参入後の競争で優位に立つためです。

 これまで多くの日本企業は、技術やノウハウをすべて自社で生み出す「自前 主義」をとってきました。しかし、AIなど最先端の分野では技術革新のペー スが非常に早いため、自前主義では追いつけなくなっています。  そこで、短期間で技術の獲得や新分野への進出をめざすため、有力な技術や 斬新なビジネスのアイデアを持つスタートアップ企業や大学などと連携するケー スが増えています。このような考え方に基づく提携や出資・買収を「オープン イノベーション」と呼びます。トヨタ自動車が、16年5月に配車サービスの 米ウーバーテクノロジーズに出資したのはその代表例です。

 KDDIのスタートアップ投資もオープンイノベーションの一種と言えます。 これまでは100億円の投資枠を設けていましたが、これを200億円に拡大 する方針です。  もちろん、スタートアップ企業に投資したからといって、競争力がすぐに強 化できるとは限りません。有望なスタートアップ企業を発掘する目利きの力や、 自社の技術・サービスと上手に融合させて新しいビジネスを構想する力などが 求められます。KDDIがそうした力を発揮して、新しい競争環境でどれだけ 成果を上げていくかは今後の大きな注目点です。

 日本では近年、大企業によるスタートアップ投資が増えています。「オープ ンイノベーション」というキーワードと共にぜひ覚えておいてください。 (waka)

経済ライター
若槻基文さん

大学卒業後、編集制作会社を経て独立。経済・金融・金銭教育分野を中心に、小学生向けからシニア向けまでさまざまなコンテンツ執筆を手掛けている。オフィステクスト代表取締役。