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5月24日

自動運転に任意保険 損保各社、対人事故を補償 商用化へ環境整備(5月16日付朝刊1面)

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 5月16日付の日経朝刊では、自動運転の普及を踏まえて損害保険各社が自 動車保険の見直しを検討しているというニュースを1面で報じていました。

 自動運転車は、カメラやセンサーなどで収集した周囲の情報をコンピューター が分析し、ハンドルやブレーキ、アクセルを自動制御して走行します。ドライ バーの不注意などに起因する交通事故を防いだり、高齢者の運転を支援したり、 運転効率化によって渋滞を緩和したりするなど、多くの利便性が期待できます。 2010年ごろからメーカー各社が本格的に開発を始め、13年にはトヨタ自 動車や日産自動車、ホンダが公道での走行実験を開始しました。

 自動運転技術の水準は、レベル1~5の5段階に分けられます。レベル1は ハンドル操作かアクセル・ブレーキを自動化する段階、レベル5はすべての運 転操作を自動化する「完全自動化」の段階です。すでに独アウディは17年秋、 一定の条件下ですべての運転操作を自動化する「レベル3」の車種をドイツで 発売しました。日本は20年をメドに高速道路でのレベル3実用化を、25年 をメドに高速道路でのレベル4実用化を目指しています。

 もちろん技術開発が進むだけでは自動運転車は普及しません。自動運転を前 提にしたルールづくりが不可欠です。例えば現在の日本の道路交通法は運転手 が操作することを前提としているので、完全な自動運転車が実現しても公道を 走れません。事故を起こしたときの責任を誰が追うのかという問題もあります。

 政府は3月末、自動運転による事故時の賠償責任はこれまでと同様に所有者 が負うという方針を示しました。また被害の補償は、自動車損害賠償責任保険 (自賠責)と任意加入の自動車保険で対応することとなりました。自賠責保険 で十分賄えない場合に、民間の自動車保険で補う仕組みで、20年代の販売開 始に向けて具体的な保険設計に取り組みはじめています。

 ルール整備が必要な要素はまだたくさんあります。車での移動中にパソコン で仕事をしたり、テレビ視聴や読書ができたりするのであれば、自動運転の魅 力は広がります。しかし現状の法制では、運転者にハンドル、ブレーキ等の操 作を義務づけ、携帯電話の使用を禁じています。安全性と利便性のバランスに 配慮しながら、どのように法律を見直していくのかは大きな課題です。

 日本は技術力が高いものの、それを普及させる仕組みづくりが苦手だと言わ れます。ルールづくりを積極的に進め、自動運転車の市場で日本勢が躍進して いくことを期待したいところです。(waka)