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5月31日

AIで融資先開拓 入出金の膨大データ解析(5月25日付朝刊7P金融経済面)

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 5月25日付の日経朝刊で、フィンテックに取り組む地方銀行(地銀)の最 新動向について報じていました。  以前も解説しましたが、フィンテックとは「finance(金融)」と 「technology(技術)」を合わせた造語で、人工知能(AI)やビッ グデータなどの技術も駆使した新しい金融サービスを指す言葉です。

 さまざまな用途での活用が進んでおり、銀行を経由せずスマートフォン(ス マホ)を使って手軽に送金・決済できるサービスや、人工知能(AI)を使っ て最適な投資計画について指南するロボアドバイザー、ネットを通じて多数の 人々から資金を調達するクラウドファンディングなどが登場しています。

 今回の記事で伝えているのは、全国の地銀7行が共同でフィンテックの新会 社を設立し、AIを活用して有望な中小企業の融資先を開拓できるような解析 システムを開発するという話題です。

 銀行は、融資先から得る貸出金利と、預金者に支払う預金金利の差が基本的 な収益源です。しかし近年、日本では銀行融資への需要が低迷し、収益を上げ にくい状態が続いています。有望な融資先を発掘することは、収益力の強化に とって欠かせません。記事にもあるように、銀行には取引先の入出金に関する 膨大なデータが蓄積されています。これをAIで解析し、業績が急成長してい る企業や、財務状況が改善している企業などを素早く見つけることができれば、 新たな融資先の発掘に大いに役立つはずです。

 銀行にとってフィンテックは、新たな収益源を生み出す原動力であると同時 に、既存のビジネスモデルの見直しを迫る要因でもあります。  これまで銀行は、預金者がいつでも手軽にお金を引き出せるようATMの設 置に力を入れてきました。しかし、スマホでの送金・決済が広く普及すれば、 現金を引き出す必要性が減っていくと考えられます。むしろATM網を維持す るコストが銀行経営の圧迫要因になっていくかもしれません。すでに各銀行は ATM戦略の大幅な見直しを進めています。

 またフィンテックは、金融以外の企業が積極的に参入している点が特徴の1 つです。対話アプリのLINEもその一つ。スマホを使った決済サービス「L INEペイ」をはじめ、金融サービスに以前から力を入れており、今年3月に は、野村ホールディングスと組んで証券事業で共同出資会社を設立することを 発表しています。  金融業に限らず、AIやビッグデータなどのテクノロジーを活用した新たな ビジネスモデルを構築しようとする企業が増え、業種の垣根を越えた提携事例 などが増えています。自分の業界ではテクノロジーがどのように活用されつつ あるのか、関連報道に注目しましょう。(waka)