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6月14日

民泊新法施行で違法疑い物件、予約取り消し返金 エアビー、利用者向け(6月8日付朝刊3P総合2面、9日付朝刊7P総合6面ほか)

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 先週から今週にかけて、日本経済新聞では民泊に関するニュースが目立ちま した。民泊を解禁する法律がまもなく施行されますが、解禁後に違法に当たる 物件が大量に出てくることが判明し、混乱が起こっています。

 以前も解説しましたが、民泊とは、個人がマンションや戸建て住宅の空き部 屋を旅行者などに有料で貸し出すことを指します。借り手にとっては、宿泊費 を安く抑えられ、通常のホテルなどとは違った宿泊体験・生活体験を味わえる のが魅力です。貸し手側は、空き部屋などを有効活用できる利点があります。  民泊普及の火付け役となったのが、2008年に創業した米国企業、Air bnb(エアビーアンドビー)です。ネットを通じて民泊を仲介するサービス を展開し急成長を遂げました。今では世界190カ国以上に、300万件以上 の登録宿泊物件を持ちます。

 訪日観光客が急増する中で、ホテルなど宿泊施設の整備が十分追いついてお らず、宿泊ニーズの新たな受け皿として民泊普及を期待する声があります。そ の一方で、訪日客による民泊利用の増加で、騒音やゴミ出しなどを巡って近隣 住民とのトラブルが相次ぎ、ルール作りが求められていました。  旅行者を有料で泊める施設には旅館業法などの規制はありましたが、民泊の ような個人による宿泊施設の提供は想定していませんでした。そこで、住宅に 旅行者を有料で泊めることを解禁する「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が17 年6月に成立。今月15日に施行されます。これにより、自治体に届け出れば 年間180日まで宿泊者を受け入れられるようになりました。

 ただトラブルを防ぐ狙いから、条例によって民泊への独自の規制を取り入れ る自治体が多くあります。新法に則った届け出をしている物件の数は伸びてい ません。そのため15日以降、違法に当たる物件が大量に出てくる見込みです。 エアビーアンドビーはこれに対応するため、解禁後にこうした物件に泊まる予 定だった人の予約を取り消すとともに、宿泊代金を返金するなどの措置をとる ことを発表しました。キャンセルは月内だけで3万件以上に達する可能性があ り、宿泊を予定していた人々の間に混乱が広がっているようです。

 もちろん、エアビーアンドビーの措置は新たな法律に従った対応です。ただ 新法の施行以降、合法的な登録物件が激減してしまえば、エアビーアンドビー の日本での事業展開は見直しを迫られる可能性があります。施行を契機に、新 たな成長産業である民泊の普及がどう進むのか。今後の動向をぜひ注目したい ところです。(waka)