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6月21日

インフラ寸断 広範に 大阪北部で震度6弱 ガス・水道、復旧に時間(6月19日付朝刊1面、2P・3P総合面ほか)

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 ご存じのように、6月18日午前、大阪府北部で最大震度6弱の強い地震が 発生しました。20日午前時点で少なくとも計5人が亡くなり、400人以上 がけがを負ったことが明らかになっています。  被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

 今回の地震は局所型で、大規模な火災や道路の損壊などはありませんでした が、水道管損傷に伴う断水やガスの供給停止などが目立ちました。これら水道・ ガスをはじめとするインフラ(生産や生活の基盤となる公共的な施設のこと) の老朽化が進んでいる問題が改めて明らかになりました。仮に直接的な被害は 小さくても、インフラの復旧が遅れれば、広範囲の地域の生活や産業活動に影 響を及ぼす可能性があります。

 特に水道は、1960年代の高度経済成長期に整備が進み、法定耐用年数を 超えている水道管が現在も多く敷設されています。今回のような地震に伴う被 害は以前から懸念されていました。ただ、老朽化設備の整備・維持には当然費 用がかかります。この日の1面記事でも指摘しているように、安全性とコスト の両立は難しい問題ですが、これを機にインフラの老朽化対策の議論が再燃する 可能性があります。

 また3P総合2面では、工場が被災したパナソニックやダイハツ工業など、 企業活動への影響についても報じていました。2011年の東日本大震災では、 道路や工場の被災などにより、必要な部品をメーカーに迅速に送り届ける供給 網(サプライチェーン)が寸断し、直接的な被害を受けなかった工場でも生産 が再開できない事態に陥りました。その教訓から、仮に工場が被災しても別地 域の工場での代替生産ができる体制を整えたり、仕入れ先である部品メーカー を複数に分けたりするなどの対策を取り入れる企業が増えました。  今のところ、今回の地震では生産活動が全国的に停滞するほどの事態は起こっ ていませんが、企業活動への影響については今後も注視しておく必要があるで しょう。

 地震のような自然災害自体を食い止めることはできませんが、事前の対応に よってその影響を少しでも抑えることは可能です。  社員の安否確認の方法を周知徹底したり、仮に工場や支店が被災した場合に 支援人員をどのように派遣するかというルールを決めておいたり、協力企業や 自治体との災害時の連携についてあらかじめ契約を結んでおくなど、危機に直 面しても企業活動を極力継続できるようにする対策のことを「事業継続計画 (BCP)」と言います。東日本大震災を教訓に取り入れる企業が増えました。 過去の教訓が今回の地震への対応に活かされている面は、少なからずあると考 えられます。

 余震が続く可能性があるほか、関西地域では大雨が予想され、まだ予断を許 しません。政府や自治体による公的な対策はもちろん、日常生活を支える民間 企業の対応により、一刻も早い復旧が望まれます。(waka)

経済ライター
若槻基文さん

大学卒業後、編集制作会社を経て独立。経済・金融・金銭教育分野を中心に、小学生向けからシニア向けまでさまざまなコンテンツ執筆を手掛けている。オフィステクスト代表取締役。