wakaの日経、ここをこう読む
6月28日

ワールド、9月にも再上場 MBOから13年 ネット通販に軸足(6月23日付朝刊1面)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 6月23日付の日経朝刊1面で、アパレル大手のワールドが株式の上場を東 京証券取引所(東証)に申請したことを伝えていました。  一定の基準を満たした企業の株式が証券取引所で売買されるようになること を「上場」といいます。IPO(Initial Public Offering)という言葉もよく 使われますがほぼ同じ意味です。

 株式を上場すると、不特定多数の人々に株式を買ってもらえるようになり、 資金調達がしやすくなります。厳しい上場基準を満たした企業として、信頼度 やブランド力も高まり、ビジネスにもプラスに働きます。これらは上場の大き なメリットです。

 ただし、上場していることが経営改革にとって足かせになることがあります。 株式会社は、良い経営をして利益を生み出し、それを出資者である株主に配当 という形で還元することが求められます。これは当然のことですが、株式を上 場して株主が増えると、短期的な利益を求められる場合があります。企業にとっ ては中長期的な成長のために、業績が一時的に悪化するような大規模な改革が 必要なこともあるので、このようなケースでは株主への対応が大きな課題とな ります。

 ワールドは2005年、経営改革のためにあえて上場廃止するという方法を とりました。具体的には会社の経営陣が、金融機関などの資金的協力を得て株 主から株式を買い取り、オーナー経営者として独立するMBO(Management Buyout)という手法を用いました。当時大きな話題となり、同様の狙いでMB Oを活用した上場廃止をする企業例がその後増えました。

 記事にもあるように、ワールドはMBO後に店舗を拡大しましたが、競争激 化で業績が悪化。その後、思い切った店舗や人員の削減などの構造改革を進め、 経営効率化を図ってきました。  利益の出やすい体質に転換して、経営再建にメドがつき、今後は実店舗の事 業モデルを転換。ネット通販を主軸にしていく予定です。電子商取引(EC) のプラットフォーム構築などのために資金が必要となることから、今回、再上 場することを決めました。

 あえて上場廃止に踏み切って経営改革に取り組んだワールドが、再上場後に 新たな成長軌道を描くことができるのか、ぜひ注目しましょう。MBOという キーワードも覚えておいてください。(waka)

経済ライター
若槻基文さん

大学卒業後、編集制作会社を経て独立。経済・金融・金銭教育分野を中心に、小学生向けからシニア向けまでさまざまなコンテンツ執筆を手掛けている。オフィステクスト代表取締役。