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7月26日

東南アPB、イオンに勢い ご当地仕様、3000品目に倍増 関税ゼロで域内相互供給(7月24日付朝刊11P・アジアBiz面)

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 7月24日付の日本経済新聞朝刊アジアBiz面で、スーパー大手イオンの 東南アジア展開の話題を大きく報じていました。現地のニーズに合わせて開発 したプライベートブランド(PB=自主企画)商品が、東南アジア市場を開拓 する上での武器になっていると伝えています。

 PB商品とは、流通業者が企画し、独自のブランド名などを冠して展開する 商品群のことです。メーカーからの完全買い取りにしたり、パッケージを簡素 化したり、宣伝費等を抑えることで販売価格を低めにしているのが特徴です。 日本では1980年代に登場し、当初はあまり普及しませんでしたが、長引く 景気低迷や節約志向の広がりの中で、PB商品の割安感が改めて見直されるよ うになり、2000年代半ばから本格的に普及しました。

 小売り各社がPB商品の品目を増やし、広く普及した結果、PB商品は「値 段が安い」というだけでは消費者を惹き付けられなくなりました。そこで現在 は、他社との品揃えの違いを出すための戦略商品として位置づけて、品質や機 能を重視した独自性の高いPB商品を投入する企業が増えています。

 今回の記事で伝えているのは、イオンが国内で培ってきたPBの開発力をア ジア進出に活用しているという話題です。  人口減少によって国内市場が縮小する中、海外事業の拡大は日本企業にとっ て共通の課題ですが、進出先の現地企業との競争に勝ち残って成果を上げるの は簡単ではありません。燃費性能の高い日本の自動車は欧米では評価され大い に販売を伸ばしましたが、価格を重視するアジア諸国ではそのままでは売れま せんでした。この日の記事でも紹介しているように、イオンも過去に同様の失 敗を経験しています。16年、日本国内で好調だった高品質のPBスーツをベ トナムで販売したところ、半分が売れ残ってしまったといいます。

 そこで現在は、進出先の人々の好みや習慣を重視してその国独自のPB商品 の開発に力を入れています。すでにベトナムでは雨がっぱやジーンズなどのヒッ ト商品が生まれており、タイやマレーシアでも同様に"ご当地PB"に力を入 れていく考えです。東南アジア諸国連合(ASEAN)は自由貿易体制を強化 しており、今年1月からは域内関税がほぼゼロになりました。タイの冷凍食品 をマレーシアやベトナムのイオン店舗で売るのも容易になります。

 イオンをはじめとする日本の流通業界が、海外市場で今後どれだけ成果を上 げられるか、PB商品はそれにどれだけ貢献するのか、ぜひ注目しましょう。 (waka)

経済ライター
若槻基文さん

大学卒業後、編集制作会社を経て独立。経済・金融・金銭教育分野を中心に、小学生向けからシニア向けまでさまざまなコンテンツ執筆を手掛けている。オフィステクスト代表取締役。