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8月 2日

研究開発費、企業の4割「最高」 車関連けん引 今年度本社調査 12.4兆円、9年連続で増加(7月26日付朝刊1面、14P企業2面)

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 7月26日付の日経朝刊で、日本経済新聞社がまとめた2018年度の「研 究開発活動に関する調査」の結果を1面ほかで大きく報じていました。主要企 業の43.9%が過去最高の研究開発費を投じることが明らかになりました。 投資総額は17年度比で4.5%伸び、9年連続の増加となります。

 研究開発費は文字通り、企業や政府、大学、研究機関などが科学技術に関す る新たな知見を得たり、新製品・サービスを生み出したりするために投じる費 用のことです。日本の場合、研究開発費全体に占める企業の負担割合が大きく、 約7割強を占めます。政府は多額の財政赤字を抱えるため、公的な研究開発費 を増やしにくく、その意味でも、企業が日本の研究開発を支えているのだと言 えます。  企業にとっても将来の成長に欠かせない支出ですが、業績が好調でなければ なかなか増やせません。研究開発費が伸びているのは、それだけ日本企業が好 調であることの表れとも言えます。

 産業別に見ると自動車などの輸送用機械の分野の研究開発費が最も多く、全 体の2割以上を占めます。自動車メーカーは近年、自動運転や電動化、情報通 信機能を備えたコネクテッドカー(つながる車)など、クルマの未来を切り拓 くような新技術の開発に取り組むことが不可欠になっています。1面記事で紹 介している企業別の研究開発投資ランキングでも、トヨタ自動車やホンダをは じめ自動車関連が上位を占めていました。  また、ソニーが自動運転車に活用されるイメージセンサーの開発に、パナソ ニックが車載電池の開発に取り組むなど、電機メーカーも自動車関連の研究開 発に力を入れています。このほかでは、素材や機械の分野の研究開発が伸びて います。

 ただ記事でも指摘しているように、欧米の有力企業に比べると、日本企業の 研究開発費の規模は大きく見劣りします。しかも研究開発においては、投じた 費用のすべてが必ずしも業績向上につながるわけではありません。日本企業と しては投資額を増やすだけではなく、如何に研究開発の質を高め、効率よく成 果に結びつけていくかが重要です。

 以前このコラムでも解説したように、日本企業の多くは、技術やノウハウを すべて自社で生み出す「自前主義」を重視してきました。しかし、人工知能 (AI)のように技術革新のペースの早い最先端分野には、それでは対応しき れません。そのため最近は、独自の技術力や研究開発力を持つ外部の企業や大 学と連携し、イノベーション創出を目指す「オープンイノベーション」に取り 組む例が増えています。オープンイノベーションも活用しながら研究開発の精 度を高め、日本企業が厳しい国際競争の中で勝ち残れるかは今後の大きな注目 点です。(waka)