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8月30日

日中、EV充電規格を20年に統一 世界シェア9割超 (8月23日付朝刊1面、3P総合2面)

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 8月23日付の日経朝刊では、電気自動車(EV)の充電規格に関する話題 を1面ほかで大きく報じていました。日本発の自動車向け急速充電規格「CH AdeMO(チャデモ)」の普及を推進している団体が、中国の業界団体と新 たな規格作りに乗り出すというニュースです。

 以前から世界の自動車メーカーはエコカーの開発に力を入れてきましたが、 昨年夏以降、特にEVへのシフトが加速しています。欧州でフランスに続いて、 英国が2040年に化石燃料で走るエンジン車の販売を禁じる方針を発表。中 国もEV普及に力を入れており、19年からは一定比率のEVなどの生産・販 売を義務づける規制を導入する見込みです。

 これまで日本勢が力を入れてきたエコカーはハイブリッド車(HV)ですが、 ガソリンエンジンと電動モーターを併用するため、二酸化炭素(CO2)の排 出はゼロではありません。これに対しEVは電動モーターのみで動くため、走 行中にCO2を一切出しません。欧州の規制強化を受けて、メーカー各社はE Vの開発を強化しています。早くからEVに取り組んできた三菱自動車、SU BARU(スバル)、日産自動車に加え、HV開発を主導してきたトヨタ自動 車もEVへの本格参入を表明しています。

 EV普及のカギとなるのが充電インフラの整備です。EV技術の核である蓄 電池の性能が向上し航続距離は伸びていますが、手軽に充電できる仕組みが無 ければ利用は増えません。EV用の充電設備を世界各国にガソリンスタンド並 みに普及させる必要があります。現時点では充電規格が世界各国で5種類が乱 立している状態で、その統一が課題となっていました。  日本は充電設備においても安全性などの面で高い技術を持ちます。日本の規 格を世界標準とすることができれば、日本からのEVや関連部品の輸出がしや すくなります。

 記事で伝えているように、規格統一を呼びかけてきたのは中国側でした。日 本勢が持つ急速充電器の安全技術やノウハウが魅力的だったようです。中国の 自動車市場規模は世界最大です。充電規格が統一されれば日本と中国で同じ規 格でEVを生産できるため、日本製EVの中国市場でのシェア向上に大いに貢 献するはずです。ただ、規格統一の主導権は中国側にあるため、技術やノウハ ウを吸収されてしまう恐れもあります。

 以前も解説したように、日本は製造業の技術力は高いものの、それを普及さ せる仕組みづくりを苦手としてきました。今回のEVの充電規格において、ど れだけ自国に優位な条件を盛り込み、世界のEV市場で日本勢が躍進していけ るかは、今後の大きな注目点です。(waka)

経済ライター
若槻基文さん

大学卒業後、編集制作会社を経て独立。経済・金融・金銭教育分野を中心に、小学生向けからシニア向けまでさまざまなコンテンツ執筆を手掛けている。オフィステクスト代表取締役。