wakaの日経、ここをこう読む
9月 6日

ルネサス、6600億円で米半導体買収IoTの中核技術取得 設計・開発に軸足(9月1日付朝刊1面、7P総合6面)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 9月1日付の日経朝刊で、半導体大手のルネサスエレクトロニクスは米国の半 導体メーカー、インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)を買収 する方針を固めたというニュースを1面ほかで大きく報じていました。日本の 半導体産業の競争力を左右するような大きなニュースです。

 もともと「半導体」とは、電気を通す「導体」と電気を通さない「絶縁体」 の中間の性質を持つ物質のことです。現在は、この物質の性質を用いて生み出 される電子部品のことを一般に半導体と呼んでいます。パソコンの頭脳に当た るマイクロプロセッサー、記憶装置であるメモリー、光を電気信号として処理 するイメージセンサーなどが代表的です。

 かつて日本の電機メーカーは、DRAMと呼ばれるメモリーの分野で高い技術力 を持ち、世界上位のシェアを握っていました。しかしその後、韓国のメーカー が巨額投資によって生産コストを引き下げる戦略で躍進。日本勢は価格競争で 劣勢となり、シェアを失っていきました。業界の大規模な再編が進み、三菱電 機と日立製作所の半導体部門が統合したルネサステクノロジと、NECエレクト ロニクスが合併して2010年に誕生したのが、現在のルネサスエレクトロニクス です。

 近年、家電製品や工場の生産設備など、あらゆる「モノ」に通信機能や情報 処理機能を搭載してネットに接続し、新たなサービスや利便性を生み出してい く「IoT(インターネット・オブ・シングス=モノのインターネット化)」が 本格的に普及しつつあります。このIoTにとっても半導体は欠かせない技術で あり、特に通信用半導体の需要が急速に伸びています。自動運転車にも用いら れ、今後の成長が大いに期待される分野です。

 今回報じられた米IDTは、その通信用半導体に大きな強みを持ちます。同社 は、工場を持たないファブレス企業です。日本の半導体業界は、小型で高品質 の製品を生み出す「生産技術」を武器としていました。これに対しIDTのよう なファブレス型の半導体企業は、回路の「設計」や「開発」の部分に特化して いるのが特徴です。

 近年、半導体業界で競争力を高めている企業の多くが、ファブレス企業です。 ルネサスはIDTの買収により、設計・開発の技術を取り込み、競争力を高めて いく考えです。これを契機に日本勢が設計・開発に軸足を移し、世界の半導体 市場における地位をどれだけ回復できるかが注目点と言えます。(waka)