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10月11日

トヨタ・ソフトバンク、移動データ活用で提携 新会社で新サービス創出(10月5日付朝刊1面ほか)

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 先週は自動車業界の大きなニュースが目立ちました。10月3日、ホンダと米 ゼネラル・モーターズ(GM)は、自動運転技術で提携すると発表。翌4日には トヨタ自動車とソフトバンクグループが、同じく自動運転など次世代車の事業 展開で提携することを発表しました。

 世界の自動車業界は今、大きな転換期を迎えています。特に各社が危機感を 高めているのが、自動運転車の実用化とそれに伴う自動車文化の変化です。  自動運転技術の水準はレベル1~5の5段階に分けられますが、すでにブレー キやハンドル操作などの複数操作をシステムが一度に行う「レベル2」までは 実用化されています。日本は20年をメドに高速道路でのレベル3の実用化を、2 5年をメドに高速道路でのレベル4の実用化を目指しています。

 もし完全な自動運転が実現したら、人がハンドルを握って操作する必要がな くなるので、タクシーやバスに乗る感覚に近づくでしょう。マイカーを保有し ようとする人が激減し、自動車に対するニーズは「所有」から「利用」に変わっ ていく可能性があります。すでに国内でも、複数の人と交代で車両を利用する カーシェアリングが広がっていますし、米国などでは自家用車で乗客を運ぶラ イドシェアが普及しています。

 自動車を所有しない人が増えれば、メーカーとしては新たな収益源となるよ うなビジネスモデルを構築する必要があります。

 5日付朝刊の1面記事でも紹介しているように、自動車業界にとって次世代ビ ジネスの重要なキーワードになりそうなのが「モビリティー・アズ・ア・サー ビス(MaaS)」です。自分で運転して目的地まで行くための道具=自動車を売 るのではなく、目的地に運んでくれるモビリティー(移動手段)をサービスと して提供していこうという考え方です。  上述のカーシェアリングやライドシェアはその例ですが、そのほかにも、患 者を診察しながら病院に送り届けたり、会議室やリビングルームのような車内 で対話しているうちに目的地まで運んでくれたりするような自動運転車サービ スが、将来的には実現するかもしれません。

 どのようなモビリティサービスが求められるのか、そのためにどんな技術が 必要になるか、現時点で正確に予想することは不可能です。進化のスピードが 激しいため、自前の技術力だけで対応できるとも限りません。自動車メーカー としては、今からその布石を打っておく必要があります。  今回のホンダとGM、トヨタとソフトバンクの提携はいずれも、自動車業界が 今後直面する新たな競争に備える狙いがあります。特に後者のような異業種と の提携は今後ますます増えるかもしれません。日本の基幹産業とも言える自動 車産業の勢力地図がどう変わっていくのか、ぜひ注目しましょう。(waka)

経済ライター
若槻基文さん

大学卒業後、編集制作会社を経て独立。経済・金融・金銭教育分野を中心に、小学生向けからシニア向けまでさまざまなコンテンツ執筆を手掛けている。オフィステクスト代表取締役。