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10月25日

カルソニックカンセイ、欧州の車部品大手買収 8000億円で 次世代車が迫る系列解体(10月22日付朝刊1面、23日付朝刊12P企業1面)

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 欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が10 月22日、自動車部品部門のマニエッティ・マレリを、自動車部品大手のカルソ ニックカンセイに売却すると発表。自動車業界の産業構造の変化に関わる大き なニュースで、日経ではこの話題を正式発表に先立って22日付の朝刊1面など で報じていました。

 自動車の部品数は1台あたり2万~3万点にものぼり、それぞれの仕様や加工 の微妙な違いが車の性能全体を左右します。そこで、日本の自動車各社は部品 メーカーを系列化し、「擦り合わせ」と呼ばれる細かい調整作業を開発・設計 の段階から積み重ね、車種ごとに部品を作り上げる体制を築いてきました。

 このような系列取引は、品質を高める意味合いのほか、部品メーカーとして は安定的な受注が見込めるというメリットがあります。半面、部品メーカー同 士での価格競争が起こりにくいのがデメリットです。2000年代には日産自動車 のカルロス・ゴーン会長が系列解体を実施。複数の部品メーカーを競わせる競 争原理を導入し、注目を集めました。

 そして今、業界構造のさらなる変革を迫っているのが、電気自動車(EV)や 自動運転技術の本格的な普及です。電気のモーターで動くEVは、これまでのガ ソリンエンジン車に比べて構造がシンプルで、部品点数が大幅に減ります。エ ンジン関連の部品は当然必要ありません。系列関係にある完成車メーカーと取 引するだけでは部品メーカーは生き残れなくなります。

 今回のカルソニックカンセイの買収計画は、部品メーカーの生き残りのため の新たな展開の一環と捉えられます。同社はもともと日産系列で、ゴーン会長 による系列解体の対象にはなりませんでしたが、17年に米投資ファンドの傘下 に入り、日産系列からは外れていました。  すでに電子部品事業にシフトしており、電子制御装置(ECU)に強みを持つ マレリ社を今回買収することで、自動運転への対応製品の開発などに力を入れ ていく見通しです。優れた部品を開発できれば、系列関係にとらわれず国内外 のさまざまな完成品メーカーを相手にビジネスが展開できるかもしれません。  先々週のコラムでも解説したように、自動車業界は現在、大きな転換期を迎 えています。今回のような買収・再編の動きはますます加速するかもしれませ ん。日本の代表的な産業でもある自動車関連のニュースは、引き続きぜひ注目 しておきたいところです。(waka)