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11月 1日

IBM、クラウドで背水  米社買収、過去最大の3.8兆円 GAFA独走に焦り (10月30日付15P企業2面)

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 米IBMはこのほどソフトウエア会社の米レッドハットを約340億ドル(約3兆8 000億円)で買収すると発表。IBMにとっては過去最大のM&A(合併・買収)で、 これによりクラウド市場での出遅れを挽回したい考えです。

 「クラウド」は、この10年ほどで急成長を遂げたIT分野のサービスです。ソ フトウエアや情報ファイルを個々の情報端末に保存するのではなく、データセ ンターと呼ばれるインターネット上の保管場所に置き、必要なときにその都度 ネット経由で取り出して利用するサービスを指します。  企業が情報システムを構築するには、情報を保管・管理するための自前のデー タセンターを持つ必要がありました。クラウドサービスを利用すればそのため のコスト負担が少なくて済みます。  記事にもあるように、米調査会社によると2017年の世界のクラウド市場規模 は16年比でじつに45%増の約6.1兆円。今後も大幅な成長が見込まれます。

 クラウド市場の世界シェア首位は、ネット通販の世界大手でもあるアマゾン・ ドット・コムです。本業であるネット通販のために巨大なサーバーシステムを 有しており、06年にそれを活用したクラウドサービスにいち早く参入。現在で は約5割もの世界シェアを占めています。

 一方のIBMは、まだパソコンが誕生する前から世界のコンピューター市場を 切り拓いてきた巨大IT企業です。同社にとって、企業向けの大型コンピューター の販売や情報システムの構築サービスは収益の柱です。クラウドが普及すれば するほど、企業は自社内で情報システムを構築する必要がなくなるので、IBM にとっては大きな打撃です。そこで同社もクラウド事業に力を入れてきたもの の、世界シェアは1.9%と、アマゾン、マイクロソフトなど上位企業に大きく 水をあけられています。

 今回の巨額の買収計画は、クラウドでの出遅れを挽回し、躍進するアマゾン に対抗する狙いが背景にあります。レッドハットはクラウド向けソフトウエア などを手がけ、独自の顧客基盤を持ちます。しかも、同社が得意とする基本ソ フト(OS)である「リナックス」は、IBMが扱うサーバー製品用のOSと親和性 があります。レッドハットを傘下に取り込んでおけば、IBMのサーバーを利用 している顧客がクラウドに移行しようとした際に、アマゾンなどのライバルに 流出するのを防げると期待できます。この買収により、IBMが業界での勢力を どの程度巻き返せるかが大きな注目点です。

 「クラウド」は、IT業界の勢力地図を理解する上での重要なキーワードです。 関連ニュースにはぜひ注目しておいてください。(waka)