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12月13日

日欧EPA、2月にも発効 国会承認へ 最大級の自由貿易圏 日本、TAG交渉の材料に (12月8日付朝刊 4P総合3面ほか)

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 12月8日未明、国会の参議院本会議で日本と欧州連合(EU)の経済連携協定 (EPA)が賛成多数により承認されました。日経ではこの話題を正式承認に先 立って8日付朝刊で大きく報じていました。

 特定の国や地域との経済活動を活発にするため、関税などの貿易障壁を相互 に削減・撤廃するとともに、投資や労働力の移動、知的財産の保護などのルー ルを定める協定をEPAと呼びます。10月のコラムで解説した自由貿易協定(FT A)よりも幅広い分野を扱う協定です。

 FTAやEPAを締結すれば、相手国への輸出に関税がかからないなど、他の国よ り有利な条件で貿易ができます。逆に日本が協定を締結していない国への輸出 には高率の関税が課されるため、他の国が締結すれば日本の輸出競争力は低下 します。輸出国である日本にとって締結拡大は重要です。

 これまで日本は、主要な貿易相手である米国やEUと締結できていませんでし た。政府は米国など計12カ国が参加する多国間協定「環太平洋経済連携協定 (TPP)」に力を入れてきましたが、米トランプ政権は発足早々、TPP離脱を表 明。自国の産業を優先する保護主義の潮流が世界的に強まりました。  日欧の間ではEPAの早期合意が望ましいとの機運が高まり、交渉が進展。今 回の日本の国会承認に続いて、EUでは12月中に議会や加盟国の閣僚理事会でそ れぞれ採決する予定で、2019年2月1日に発効する見通しとなりました。世界の 国内総生産(GDP)の27.8%、世界貿易の36.9%を占める一大自由貿易圏が生ま れることになります(いずれも17年の統計)。

 具体的には、EUが日本の乗用車に課してきた10%の関税が8年目にゼロに。自 動車部品については9割以上の関税が発効後すぐに撤廃されます。また日本側 は、欧州産ワインへの関税を即時撤廃。農林水産分野全体で見ると、約8割の 品目の輸入関税を撤廃します。欧州のワインやチーズ、パスタなどが日本で手 頃な値段で買えるようになりそうです。  半面、これは日本と欧州の農産業の競争を促進することになります。日本政 府は18年度の第2次補正予算案に農家の支援策を盛り込みました。日本の農林 水産品に対するEU側の関税はほとんどが即時撤廃されるので、品質の高い日本 の農作物の輸出に力を入れる意欲的な農家が増えることが期待できます。

 また年明けには、日米間で物品貿易協定(TAG)交渉がスタートします。自 国優先の通商政策をとっているトランプ政権との交渉において、日欧EPAの発 効が日本に有利に働くという期待もあります。  EPAをはじめとする自由貿易交渉の行方は、日本の幅広い産業に影響を与え ます。自分の業界にどのように関係するのかを考えながら、関連報道に注目す るようにしましょう。(waka)

経済ライター
若槻基文さん

大学卒業後、編集制作会社を経て独立。経済・金融・金銭教育分野を中心に、小学生向けからシニア向けまでさまざまなコンテンツ執筆を手掛けている。オフィステクスト代表取締役。