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12月20日

税制大綱、10月消費増税へ対策厚く 車・住宅など減税 (12月15日付朝刊 1面、P8~10特集面ほか)

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 毎年12月には、次年度の国家予算の政府案と税制改革の基本方針である「税 制改正大綱」が発表されます。予算と税制に関する記事が日経紙面に連日登場 するのもそのためです。15日付の日経朝刊では、前日に与党が決定した2019年 度税制改正大綱の内容について1面ほかで大きく報じました。

 19年10月には、消費税率の10%への引き上げを予定しています。消費増税は 短期的には景気に負の影響を与えるため、政府・与党は、増税の負の影響を抑 えるようなさまざまな対策を投入した上で、19年10月の消費増税を実行する考 えです。  そのため今回の税制大綱では、家計負担に配慮したさまざまな対策が盛り込 まれました。中でも大きく見直されたのが自動車関連の税制です。車を持つ人 に毎年かかる自動車税を最大で年4500円減税し、車を買うときに払う燃費課税 を消費税増税後の1年間、1%軽くすることが決まりました。

 もう1つ大きいのが、住宅購入を支援する対策です。住宅購入は金額が大き いので、消費税率の数%の変化でも負担額がかなり変わってきます。増税後に は反動減が起こりやすく、それが景気に少なからず影響を及ぼします。  そこで今回、住宅ローン減税が受けられる期間の延長が決まりました。住宅 の購入を促すことは豊かな国民生活の実現に必要であるという観点から、日本 では以前から住宅ローンに対する減税策が取り入れられてきました。その期間 はこれまで10年でしたが、13年に延長します。このほか、収入が一定額以下の 人に給付する「すまい給付金」も拡充される予定です。

 ただし、15日付の3P総合2面でも解説しているように、消費税増税対策に重 点を置いたために、税制のいくつかの大きな課題が先送りされた面があります。 今後カーシェアリングやライドシェアなどが普及すれば、自動車を保有する人 が減るため、自動車関連の税収もおのずと減ります。走行距離などに応じた新 たな課税を検討する必要があります。またグーグルやフェイスブックのように グローバルに収益を上げるIT企業は、各国に工場などを持たないので、物理的 な拠点をベースに課税する仕組みでは対応できなくなっています。新たな課税 ルールづくりが必要です。いずれも日本での論議は遅れ気味です。

 さらに今後、日本にとって最も重要なのは、社会保障制度の抜本改革を含む 歳出削減・財政再建策を進めることです。消費増税だけでは財政健全化にはほ ど遠いからです。税収を高める意味で、国内産業の活力を引き出す成長戦略も 重要です。消費税増税対策だけでなく、こうした日本の先行きを大きく左右す るような重要施策を政府がどのように打ち出していくかが、今後の大きな注目 点です。(waka)

経済ライター
若槻基文さん

大学卒業後、編集制作会社を経て独立。経済・金融・金銭教育分野を中心に、小学生向けからシニア向けまでさまざまなコンテンツ執筆を手掛けている。オフィステクスト代表取締役。