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2月14日

伊藤忠のTOB「敵対的」に デサント、阻止難しく 経営迷走なら株主に打撃(2月8日付朝刊 3P総合2面ほか)

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 スポーツ用品大手のデサントは2月7日、筆頭株主の伊藤忠商事が実施してい る同社へのTOB(株式公開買い付け)に反対すると発表。この話題を日経では 翌8日付朝刊などで大きく報じていました。

 株式を他の株主から買い集めると、企業の経営権を取得できます。株式のす べてを買い取れば完全な子会社にできますし、株式の一定割合を購入するだけ でも支配力を高められます。  証券取引所に上場している企業の株式は、原則として誰でも市場を通じて買 うことができますが、買収などを目的に大量に買い付ける場合は、買い付ける 価格や株式数、期間などを事前に公表することが義務づけられています。すべ ての株主に売却の機会を公平に与えるためです。このような買い付けをTOB (テーク・オーバー・ビッド=Take Over Bid)と呼びます。

 TOBは、特に日本の場合、互いの合意を得て行うことが多いですが、買う側 と買われる側の間で意見が対立するケースもあります。相手側の同意を得ない まま実施するTOBは「敵対的TOB」と呼ばれます。今回の伊藤忠とデサントのケー スも敵対的TOBに発展しました。伊藤忠商事はデサントの筆頭株主であり、現 在30%の株式を保有しますが、総会での重要事項への拒否権がある40%に引き 上げる計画です。

 対立に至るまでにはさまざまな要因がありますが、その一つが、デサントの 収益構造に対する見解の相違です。伊藤忠はデサントの収益が韓国事業に依存 していることを問題視しています。一方デサント側は、日本国内の収益力は高 まっており、海外でも韓国だけでなく中国事業も拡大しているなど、伊藤忠側 の指摘は事実と異なると主張しています。

 日本では大企業同士による敵対的TOBの例はあまりなく、大きな成果を上げ ていませんが、米国ではそれほど珍しくはありません。経営陣の意見が対立す ること自体は悪いことではなく、大切なのはそれを通じて最も良い経営のあり 方が模索され、結果として株主の利益につながることです。

 今回の対立の行方はわかりませんが、伊藤忠とデサント、どちらが経営の主 導権を握ったほうが企業価値向上につながるのかを、株主が判断することにな ります。今後両社には、それぞれ株主が納得するような説明を重ねていくこと が求められます。(waka)