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2月28日

じれる企業「脱英国」 ホンダ、生産終了発表 部品大手も閉鎖検討、経済に打撃(2月20日付朝刊1面、3P総合2面ほか)

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 ホンダはこのほど、欧州唯一の四輪車の生産拠点である英国工場での生産を 2021年中に終了すると発表しました。欧州販売の不振が続いていることに加え、 英国が欧州連合(EU)との合意のないまま離脱する可能性が高まっていること が背景にあります。

 EUでは加盟国間の貿易に対する関税を撤廃しているほか、人・モノ・サービ ス・資本の移動が自由化されています。欧州以外の国の企業も、EU加盟国のど こかに工場を置いてそこで生産すれば、他の加盟国に製品を輸出する際に関税 がかかりません。これは大きなメリットです。こうして各国の経済的な関係が 密接になり、欧州全体の経済成長を促すと期待されていました。  しかし、近年はギリシャ一国の財政問題が欧州全体に経済危機をもたらすな ど、負の側面が目立ちます。そのため最近は加盟国の間でEUへの不信感・不安 感が広がっていました。

 なかでも英国は、統一通貨ユーロを導入せず自国通貨ポンドを採用し続ける など、以前からEUと一定の距離を保ってきました。また最近、中東やアフリカ からEUへの移民が増えていますが、英国は経済が比較的堅調であるため移民が 集まりやすい面がありました。これらを背景にEUから離脱すべきとの声が急速 に強まり、これを受けて英国政府は16年に国民投票を実施。EUからの離脱支持 が全体の過半数を占めたことから、離脱が決まりました。

 EU離脱期日は今年3月29日で、あと約1カ月です。離脱の悪影響を極力抑える ため、英国政府はEUとの間で貿易や投資に関する新たな協定締結を目指してき ました。しかし、国民投票でも離脱賛成派・反対派が拮抗していただけに、事 態は混迷しています。議会が離脱協定案を承認する見通しはまだ立っていませ ん。  EUと合意を得た上での離脱であれば、今後約2年間は「移行期間」として、 現在の貿易ルールが維持されます。もし合意がないまま離脱すれば、いきなり 関税が発生するなどさまざまな影響があります。

 欧州各国への輸出拠点とするため、英国に進出してきた日本企業は少なくあ りません。これまでEU内では関税なしで輸出できましたが、合意なき離脱によ りこうしたメリットがなくなる可能性が高まりました。今回ホンダが英国での 生産終了を決めたのもそのためです。他の自動車メーカーも英国での生産計画 の中止などを発表しており、部品メーカーなどにも影響を及ぼしそうです。

 英国のEU離脱は、日本企業のグローバル展開や業績動向を左右する大きな ニュースです。今後の報道に引き続き注目しましょう。(waka)