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3月14日

パワハラ防止、企業に迫る 法案を閣議決定 人材流出・生産性低下が深刻に 窓口や処分を義務化(3月9日付朝刊 3P総合2面)

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 職場で強い立場にある人が部下などに嫌がらせをするパワーハラスメント (パワハラ)の防止措置を企業に義務づける法案を、政府がこのほど閣議決定 しました。これを受けて9日付の日経朝刊で、法案の内容や企業の対応につい て大きく報じています。

 法案では、パワハラを「上司などの優越的な関係を背景に、業務上必要な範 囲を超えた言動で働く環境を害すること」と定義しています。法整備が進んで いる背景には、パワハラが年々増加し、社会問題化していることがあります。 労働局(都道府県に置かれている厚生労働省の所管組織)への労働相談のうち、 パワハラを含む「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は2017年度に約7万2000件 にものぼりました。  法案が成立すれば、来年春には相談窓口などの設置が義務づけられます。パ ワハラは、被害を受けた人の心身を傷つけるのは言うまでもなく、職場の労働 意欲の減退や生産性の低下、人材の流出などを招き、結果的に企業の競争力に もマイナスの影響を与えます。実効性のある対策を早急に整備することが必要 です。

 法案成立を待たず、すでに対策をとる企業が増えています。記事でも紹介し ているように、自動車部品大手のカルソニックカンセイは職場ごとにパワハラ などで問題提起と解決方法を出した優秀者を表彰する制度を導入しました。ま た不動産大手の三井不動産は、18年度からパワハラ防止研修の対象を管理職だ けでなく全社員に拡大。同様に三菱地所も数年前から研修の対象を全社員に広 げています。

 パワハラ問題の解消に欠かせないのは、社員全体の意識改革です。  厚労省はパワハラを巡る行為を「精神的な攻撃」「身体的な攻撃」「人間関 係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」という6種類 に分けています。精神的・肉体的な攻撃がNGなのは当然ですが、上司が自身の 経験から「若い頃はがむしゃらに働かないと成長しない」と考え、過大な量の 仕事を部下に任せてしまうような事態は、法律の整備だけでは防げません。し かも、長い時間働く社員の方が高く評価されるような職場の風土があると、こ うした問題が発覚しにくい面もあります。

 女性の活躍が進み、中途採用が当たり前になるなど、職場の価値観はかつて に比べて大幅に多様化しています。古い価値観のままでは、それ自体がハラス メントを誘引してしまう恐れもあります。法案自体は1つのきっかけに過ぎま せん。この日の記事でも指摘しているように、これを機に、企業ごとにパワハ ラにつながるような要因を改めて見つめ直し、働きやすい職場作りに社員一人 ひとりが意識的に取り組んでいくことが大切です。(waka)