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4月11日

お金の未来どこへ 新紙幣24年度から キャッシュ信仰強い日本 世界は脱・現金加速(4月10日付朝刊 1面、3P総合2面、5P経済面)

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 政府と日本銀行(日銀)は9日、1000円、5000円、1万円の新紙幣を2024年度 に流通させると発表しました。日経ではこの話題を正式発表に先立って当日の 朝刊1面で報じるとともに、新紙幣の詳細やその影響に関する分析記事を10日 付の1面ほかで大きく掲載していました。 紙幣の刷新は04年以来、ちょうど20年ぶり。図柄は1000円札が北里柴三郎、 5000円札は津田梅子、1万円札は渋沢栄一になります。

 これまでも政府はおおむね20年ごとに紙幣を刷新してきました。その基本的 な目的は、新たな偽造防止技術を取り入れて決済手段としての紙幣の信頼性を 保つことです。今回の新紙幣では、最新の3次元(3D)技術によるホログラム などを導入する予定です。 紙幣の図柄に精巧な肖像画が用いられるのも偽造防止の一環です。人間は人 の顔つきや微妙な表情を見わける能力が高く、紙幣の絵にほんの少しでも違い があれば発見できると言われています。世界的にも約7割の紙幣で肖像画が用 いられているそうです。    ちなみに欧州統一通貨ユーロ紙幣の場合、多くの国々で使うため特定の人物 を選ぶのが難しく、肖像画の代わりに歴史を象徴するような建築物の絵が描か れています。

 紙幣が新しくなると、ATMや自動販売機の改修やシステム変更が必要になる ため、一定の経済効果があります。ただ、発表されてから新紙幣流通まで5年 間の猶予があり、また銀行業界がATMの削減を進めていることなどから、影響 は限定的だと見られます。

 もう1つ注目されるのが、キャッシュレス化の波への影響です。10日付の日 経1面で伝えていたように、クレジットカードや電子マネーなどによるキャッ シュレス決済の比率は、日本は世界的に見て低く、20%程度。日本の紙幣は印 刷技術や偽造防止技術が高く、しかも日銀が損傷や汚れの度合いを適宜チェッ クし、きれいな紙幣しか流通させていないので、現金への信頼度が非常に高い のです。

 政府は25年にキャッシュレス決済比率を40%に高める目標を掲げています。 「LINEペイ」や「楽天ペイ」など利便性の高いスマホ決済サービスも登場して おり、これらを追い風にキャッシュレス化が順調に進むのか。あるいは引き続 き現金信仰が根強く残るのか。新紙幣の導入と共に、今後の行方を注目しましょ う。(waka)