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4月25日

通年採用で就活転換、専門性必須に経団連と大学合意 脱・終身雇用さらに(4月19日付朝刊 1面、23日付朝刊 1面、3P総合2面ほか)

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 経団連と大学側は4月22日、新卒学生の通年採用の拡大で合意しました。企 業の採用活動にとって大きな変革の契機になるような大きなニュースで、日経 では合意に先立って19日以降、連日のようにこの話題を報じています。

 これまで日本企業の採用活動は、春に集中的に選考して一斉に内定を出す 「新卒一括採用」が主流でした。新卒一括採用は、もともとは高度経済成長時 代に生まれた枠組みだと言われます。当時は経済が劇的な成長を遂げる一方で、 企業は人手不足が深刻になり、若い人材を一斉に大量採用して、自社内で時間 をかけて育てる方法をとったわけです。

 大量な人材を一気に集められるという意味で合理的な方法と言えますが、ご く短期間で選考するので学生の能力が見極めにくく、知名度の低い中小企業は 人材を採りにくいといった課題が指摘されていました。また新卒一括採用は、 「特定の経験や技能を持たない人材を自社内で育てる」という企業の人材育成 を前提としています。グローバル化やデジタル化の進展などにより、経営環境 の変化が激しく、自前の教育では追いつけなくなっていました。

 通年採用とは、特定の時期にこだわらず選考・採用することを言います。大 学卒業後に留学やインターン(就業体験)を経てから就活することもしやすく なります。時期にこだわらないので、海外人材を採用しやすくなるという面も ありそうです。すでに楽天やファーストリテイリングのように通年採用を導入 する企業はあり、これを機に採用方法を多様化する企業が増えそうです。

 採用方法が変われば、人材育成のあり方も変化します。通年採用は、人工知 能(AI)や、金融とIT(情報技術)が融合したフィンテックなど最新テクノロジーの知識・ 能力を必要とする職種の採用機会を増やす狙いがあります。欧米では企業に入っ てイチから技能を学ぶという意識が薄く、入社前に一定の職業訓練を受けて専 門性を身につけておくのが前提となっています。  今後は日本でも、学生時代から就業意識を持つとともに、知識や能力を磨く ことが求められていくかもしれません。大学教育にも改革を迫ることになりそ うです。企業側も、求める人材像を明確にして、それを学生たちに提示するこ とが必要になります。

 就活の見直しは、就活生に影響を与えるのはもちろん、日本企業の雇用のあ り方全体の改革を迫るものです。大変重要なテーマなので、今後の報道にぜひ 注目しましょう。このコラムでも随時紹介します。(waka)