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5月30日

自動車 3度目の大再編 FCA、ルノーに統合提案 CASE見据え交渉力(5月28日付朝刊 1面、3P総合2面ほか)

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 5月27日、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(F CA)は仏ルノーに対し、経営統合を提案したと正式に発表。ルノーは同日、提 案を前向きに検討するという声明を出しました。  実現すれば、2社合計の世界販売台数は約870万台で世界3位。ルノーと連合 を組む日産自動車と三菱自動車は現状の統合案に含まれていませんが、この2 社が加わるとすると世界販売台数は1500万台を超え、世界首位の独フォルクス ワーゲン(VW)を上回ります。日経ではこの話題を、正式発表に先立って27日 の朝刊1面や、翌28日の朝刊1面などで大きく報じました。

 世界の自動車業界は今、大きな転換期を迎えています。その背景にある主な 技術潮流は4つあり、「コネクテッド(情報連携)」「オートノマス(自動運 転)」「シェアリング(共同所有)」「エレクトリシティー(電動化)」の頭 文字を取って「CASE(ケース)」と呼ばれます。

 CASEの領域では、既存の自動車メーカー以外のIT企業やベンチャー企業が躍 進しています。例えば自動運転の実用化には、ブレーキやアクセルを自動制御 するシステムや、クルマの周囲の状況を感知するセンサーの開発など、IT分野 の技術開発力が欠かせません。ここでは米グーグルをはじめとする有力IT企業 のほか、自動運転開発会社の米ウェイモなどが先行しています。  また、完全な自動運転が実現すれば人が操作する必要がなくなるので、タク シーやバスに乗る感覚に近づき、マイカー利用が激減する可能性があります。 複数の人と交代で車両を利用するカーシェアリングや、自家用車で乗客を有償 で運ぶライドシェアなど、シェアリングビジネスがますます普及するかもしれ ません。これは配車サービス大手の米ウーバーのようなベンチャー企業が切り 拓いてきたビジネスです。

 28日付総合2面の記事でも解説しているように、FCAが今回の統合提案に至っ たのは、自動車産業の主導権が業界外へとシフトしていることへの危機感があ ると考えられます。CASEを構成する4要素が実際にどのような進度で普及し、 そのためにどんな技術が必要になるか、現時点で正確に予想することは不可能 です。進化のスピードが激しいため、自前の技術力だけで対応するのは難しい と言えます。自動車メーカーとしては今からその布石を打っておくことが必要 です。今回の統合案の実現によって巨大な事業規模を確保できれば、FCAとし てはそれだけ自動車以外の企業群との交渉を優位に進められます。

 すでに日本でも自動車各社と異業種との連携が進んでいます。今回の統合案 がどう推移するのか、その結果、どんな新たな企業間の連携が生まれるのか、 自動車産業全体の勢力地図がどう変わっていくのか......などが今後の注目点で す。また今回のニュースはルノーと日産自動車との関係にも影響を及ぼす可能 性があります。興味のある人はその点も注目してください。(waka)