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6月 6日

設備投資、増勢続く 今年度9.9%増 米中摩擦 下振れ懸念 本社調査(6月3日付朝刊 1面、9P企業面)

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日本経済新聞社がまとめた2019年度の設備投資動向調査の結果が、6月3日付 の日経朝刊1面・企業面に大きく掲載されていました。全産業の設備投資計画 額は前年度実績と比べ9.9%増で、3年連続のプラスとなりました。

 以前のこのコラムでも解説しましたが、設備投資とは企業が生産力の増強な どを目的に、工場を建設したり新たな情報システムを導入したりすることを言 います。  企業の成長のために欠かせない支出である半面、費用の負担は大きいので、 業績が伸びる見通しがなければ増やせません。仮に工場を新設しても、それに 見合う需要がなければ在庫がかさみ、設備の稼働率が下がって収益を圧迫しま す。設備投資を増やす企業は、それだけ現在の業績が好調で、先行きにも明る い見通しを持っていると考えられます。  また設備投資が増えれば、建設や産業機械などの業界の収益増につながり、 景気にもプラスに働きます。設備投資動向が注目されるのもそのためです。

 今回の19年度計画で目立ったのは、人手不足への対応や東京五輪に向けたイ ンフラ整備、老朽設備の更新などに関わる投資でした。記事にもあるように、 例えばイオンは省力化や省人化につながるデジタル投資を中心に0.9%増の5000 億円、JR東日本はホームドアの整備などで21.9%増の7680億円の投資をそれぞ れ計画しています。このほか、次世代の通信規格「5G」など新技術への対応も 投資額を下支えしており、NTTはグループ全体で18年度比3.1%増の1兆7500億円、 KDDIは1.4%増の6100億円を計画しています。

 全体に設備投資額は高水準ですが、1年前の18年度当初計画は17年度実績比 で16.7%増だったので、今年度はそれに比べやや減速しています。また国内と 海外の投資が比較可能な644社で見ると、国内の投資が18年度比6%増なのに対 し、海外は2.4%増。前年度は逆に海外向けの方が高かったので、これを見る限 り、設備投資の中心は海外向けから国内向けにシフトしているようです。米中 貿易戦争激化など世界経済には不透明な要素もあるので、その動向次第で、海 外向け設備投資はさらに弱まる可能性もあります。

 設備投資の狙いや背景は、業種によっても個々の企業によっても違います。 3日付の日経産業新聞では企業別の設備投資計画の詳細や、増減額の大きい企 業のランキング表などを掲載していましたので、興味のある人はこちらも参照 してみてください。(waka)