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6月13日

出生率18年1.42 遠ざかる目標 3年連続低下、出生数は過去最少(6月8日付朝刊 1面、2P総合1面、3P総合2面)

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厚生労働省はこのほど、2018年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む 子どもの数の平均数)が1.42となったことを発表しました。前年から0.01ポイ ント下がっており、3年連続の低下となります。また出生数は91万8397人で、 過去最少を更新しました。

 4月のコラムでも解説したように、人口の維持に必要な出生率の水準は2.06 ~2.07と言われます。日本の出生率はこの水準を下回った状態が長く続いてお り、人口減少の要因となっています。

 少子化・人口減少は経済の成熟化に伴い世界各国で見られる現象ですが、日 本の場合、その進度のスピードが速いのが特徴で、財政や公的年金をはじめ諸 制度への幅広い影響が懸念されています。また人口が減れば、それだけ労働力 や消費、貯蓄といった基本的な経済活動が縮小するため、中長期的な経済成長 にも影響を与える可能性があります。

 もちろん子どもを産むか産まないかはあくまで個人の問題なので、結婚して 子どもを持ちたいと考えている人々に対し、阻害要因をできるかぎり無くし、 結婚・出産を後押しするような対策を進めていくことが大切です。

 育児休業制度の普及促進や保育施設の拡大など政府による公的な対策は重要 ですが、それ以上に欠かせないのが企業の対応です。  将来の家計収入に対する不安感が強いと、出産を断念する人々が増えやすく なります。その意味で、女性が働きながら安心して出産・育児をできる職場環 境を整えることが重要になります。育児休業制度は普及しているものの、出産 と同時に仕事を続けるのを断念する女性は今も少なくありません。長時間労働 をプラスに評価するような企業風土が残っていると、女性が出産後に職場復帰 するのが難しくなりますし、男性の育児休業取得も進みません。職場の意識改 革が求められます。

 最近では、男性の経営者の方が自ら見本になるよう、率先して育児休暇を取 得するようなケースが出てきました。また、社内に女性活躍のためのワーキン ググループを設置し、出産後に職場復帰した女性の経験談や意見を共有したり することで、職場改革に活かしている例もあります。働き方改革や女性活躍の 機運を追い風に、こうした取り組みが今後いっそう広がっていくことを期待し たいところです。(waka)