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7月25日

年金改革 ようやく着手へ 来月にも「財政検証」公表 安心の再設計不可欠(7月22日付朝刊 7P総合・経済面)

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 参院選が行われた翌日22日付の日経朝刊では、政府の社会保障改革について 大きく報じていました。政府は参院選後に先送りしてきた社会保障改革の議論 に、ようやく着手することになります。

 日本の国家予算は巨額の赤字を抱えていますが、その大きな要因が社会保障 費の拡大です。社会保障費は医療・介護をはじめとする国民の健康な生活を支 える予算で、高齢化の進展に伴い拡大傾向にあります。2019年度予算の歳出 (支出)総額約99兆円のうち、社会保障費は約33兆円。全体の約34%を占める 最大の費目です。今回の消費増税の狙いも、拡大する社会保障費の財源を補う 狙いがあります。

 しかし増税だけでは、社会保障財政の立て直しはできません。給付と負担の バランスを見直すことが求められます。  焦点の一つが公的年金制度の改革です。公的年金は、働く現役世代から集め た保険料を、高齢者の年金給付に充てる「世代間扶養」という仕組みが取られ ています。少子高齢化の進展により、年金を支給される高齢者と、保険料を負 担する現役世代の人口バランスが揺らぎ、年金を支える財政が悪化しています。 年金支給には国の予算も投じられているため、社会保障費の拡大の要因でもあ ります。

 年金の支給を開始する年齢の引き上げや、経済的に余裕のある高齢者への支 給額の減額といった対策が求められますが、痛みを伴う改革となるため、議論 は進んでいません。6月に閣議決定した経済政策の基本方針である「骨太の方 針」では、支給開始年齢の引き上げは「行わない」としています。  日本の公的年金には、給付と負担のバランスが崩れるのを調整する「マクロ 経済スライド」という仕組みがありますが、これまで十分機能してきませんで した。記事にもあるように、これを物価や賃金低迷時に発動できる仕組みに変 えられるかは今後の注目点です。

 このほか、社会保障費の抑制のためには医療費の制度改革も必要です。国民 が安心して健康生活を送れるよう、医療費は国の予算が投じられています。お かげで私たちの窓口負担は少なくて済みますが、高齢化の進展で医療を受ける 人が増えれば国の負担が増えます。これも社会保障費拡大の要因です。現在、 75歳以上の後期高齢者の窓口負担は原則として1割で、財務省からは2割程度に 引き上げる案が出ています。ただ、これも痛みを伴う改革であるため、どこま で前向きな議論が進むかは不透明です。

 6月のコラムでもお話ししましたが、今後、消費増税と併せて社会保障制度 についての報道も増えるはずです。国民の負担に関わる重要な話題ですので、 ぜひ引き続き注目しましょう。(waka)