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8月29日

IoT、サービス業に拡大 ファストリ、瞬時に検品・在庫確認 トライアル、カメラで来店客分析(8月21日付朝刊 12P企業1面)

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 8月21日付の日経朝刊で、IoT(インターネット・オブ・シングス)の最新動 向に関する記事を大きく掲載していました。  このコラムでも何度か解説していますが、IoTとは「モノのインターネット 化」の意味で、自動車や家電製品、工場の生産設備などさまざまな「モノ」に センサーや通信機能を搭載してネットに接続し、新たなサービスや利便性を生 み出していく技術を指します。

 記事にもあるように、米国の調査会社によると2023年の世界のIoT関連支出 額は18年に比べて1.8倍の1兆1246億ドル(約118兆円)になる見通しです。産 業別で見ると製造業の伸び率が最大ですが、最近では消費・小売業や運輸・物 流などサービス業も大きく伸びています。

 製造業がIoTに力を入れるのは、単にセンサーなどを搭載したIoT関連機器の 売れ行きが期待できるという理由だけではありません。例えば工場用の産業機 械やクレーンのような建設機械にセンサーをつけ、稼働状況をリアルタイムで 把握してそのデータを詳細に分析できるようになれば、より効率的な機械の使 い方や最適な配置などを利用者に提案できるかもしれません。つまり製品を売 って終わりではなく、売った後のアフターサービスを新たな収益事業とするこ とが可能になります。  このように、製造業が製品ではなく、サービスを売るビジネスに転換するこ とを「サービタイゼーション」と呼びます。IoTによって生まれた潮流の一つ です。

 今回の記事で紹介しているのは、小売りや物流分野でのIoT活用の動向でし た。例えばファーストリテイリングでは、カジュアル衣料店「ユニクロ」と 「GU(ジーユー)」のほぼ全商品にRFID(無線自動識別)と呼ばれるICタグを 取り付けました。従来は在庫管理のため、店員が商品を1点ずつバーコードで 検品していましたが、このタグを専用機器で読み取ることにより、瞬時に複数 の商品が検品できるようになったといいます。同様に倉庫内でも、商品のICタ グからデータを常時吸い上げて自動検品できるようにしており、出入庫に要す る時間を劇的に減らすことに成功しています。

 このほか記事では、福岡市の大手ディスカウント店・トライアルホールディ ングスが、新装開店した店舗に多数の人工知能(AI)カメラを設置。店内の人 と商品を認識させ、来店客がどの商品に触れたか、どの棚に置かれた商品の売 れ行きがよかったか、などを把握できるシステムを稼働させたと伝えています。 これによって顧客の購買心理を分析し、品揃えや棚卸しに活かしていく狙いで す。

 人口減少により人手不足が深刻化する日本企業にとって、テクノロジー活用 による省力化は大きなテーマです。IoTはその手段として大いに期待されてい ます。これまでは製造業での活用が目立ちましたが、小売業をはじめ今後どん な業態がどのようなユニークな活用法を生み出していくか、ぜひ注目したいと ころです。(waka)