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9月19日

中東緊迫、原油が急騰 サウジ施設攻撃 市場身構え 米「備蓄放出を承認」(9月17日付朝刊 1面、3P総合・経済面ほか)

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 中東地域の政治情勢の緊迫を背景に原油価格が高騰しています。サウジアラ ビアの国営石油会社の石油施設が今月14日、無人機による攻撃を受けました。 サウジのエネルギー相は、今回の攻撃により石油生産が日量570万バレル減っ たと発表。これは世界最大級の石油輸出国であるサウジの生産量の約半分、世 界の石油供給量の5%以上に相当すると言います。  イエメンで活動する武装組織が今回の攻撃を発表していますが、攻撃が今後 も続くのか、今後の原油供給にどの程度影響を与えるのかは不透明です。

 中東とは、アラビア半島周辺の西アジアやアフリカ北東部を中心としたエリ アを指します。宗教・民族・文化的な関係が複雑な地域であり、産油国が集中 していることでも知られます。原油価格は需要と供給のバランスによって変動 します。中東地域の武力紛争や政情不安は原油の供給減につながりやすく、そ の結果、原油高騰がしばしば起こります。今回の攻撃により、国際的な指標原 油の1つである北海ブレント原油先物は16日に一時19%上昇しました。

 原油はあらゆる産業活動で利用されており、原油高の影響は幅広いものです。 火力発電で重油を使う電力業界や、燃料としてガソリン等を使う運輸業界・航 空業界などにとって収益の圧迫要因です。原油は合成樹脂や合成繊維など石油 化学製品の原料であり、これらの生産動向・価格動向に影響を与えます。身近 なところでは、ペットボトルをはじめとする飲料の容器や食品のトレイ、包装 素材などが原油からつくられるので、食品業界や流通・小売業界にマイナスの 影響を及ぼします。

 サウジは日本にとって最大の原油輸入相手国であり、輸入量全体の4割近く を占めるため、日本の産業活動への影響が懸念されます。ただ原油の輸入依存 度が高い日本は、こうした事態に備え、政府が政策的に原油の備蓄をしていま す。この日の総合・経済面の記事でも解説しているように、当面はこうした備 蓄により供給不安は避けられそうです。このほか、トランプ米大統領が、原油 の供給不安を和らげるため「必要に応じ、戦略石油備蓄を放出することを承認 した」と表明しています。  しかし今後も武力攻撃が続き、原油の世界的な供給不安につながれば、原油 価格は高止まりし、日本のみならず世界の経済・産業に大きな打撃となる恐れ があります。

 原油高騰は、原油とは直接関係がないように見える業界の動向も左右します。 今後の報道に引き続きぜひ注目してください。自分の業界は今回の原油高にど んな影響を受け、それにどう対応しようとしているのかなどを調べてみると参 考になると思います。(waka)