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10月 3日

社外取締役、初の3割超 上場企業 女性・外国人も最高 異なる知見を活用(10月2日付朝刊 1面)

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 10月2日付の日経朝刊では、日本の上場企業における「社外取締役」の動向 を1面で大きく報じていました。

 適正な企業経営のため、事業活動全体を監視・監督する仕組みを企業統治 (コーポレートガバナンス)といいます。そのための施策の一つが「社外取締 役」の選任拡大です。  社外取締役は、その企業の出身などでなく、利害関係を持たない外部の立場 にいながら取締役を務める人材のことです。他社で経験を積んだ経営者や大学 教授、弁護士らが就任する例が多く見られます。客観的な視点で経営を監視す る役割が期待されます。

 相次ぐ不祥事の発覚を背景に、社外取締役の選任を拡大する日本企業が増え ています。日本企業の株主に占める海外投資家の割合が高まり、彼らが企業統 治の強化を求めていることも背景にあります。政府も社外取締役を重視してお り、金融庁と東京証券取引所が策定した企業統治の指針「コーポレートガバナ ンス・コード」では、業務執行に携わらない独立社外取締役を2人以上置くこ とを求めています。

 これらの結果、取締役に占める社外取締役の比率は年々高まっています。3 月期決算の上場企業の社外取締役数は4400人強で、前年に比べ9%増。取締役全 体に占める比率は31.5%となり、初めて3割を突破しました。また監査役や執行 役を含む役員全体を見ると、女性が1000人を上回り、外国人役員がいる企業数 も100社を超えて過去最高になるなど、役員の顔ぶれも多彩になっています。 取締役会の多様性を確保することで、経営に対する監視力を高めるのが狙いです。

 ただ、記事でも指摘しているように、社外取締役の割合が8割を超える米国 などと比べると、日本の水準はまだまだ低いと言えます。また、単に社外取締 役を増やしたからといって、それだけで企業統治が強まり、不祥事が防げると いうわけではありません。顧客への不適切販売が問題となったかんぽ生命保険 は、取締役に占める社外取締役の比率が7割を占めていました。形式的に社外 取締役を増やすのではなく、取締役会の実効性を高める工夫が重要です。

 この日の「きょうのことば」でも触れているように、日本では複数の企業の 社外取締役を兼任している人が多数います。社外取締役を務めるに相応しい人 材が不足していることが背景にあります。兼任が多くければ1社に割く時間が 減り、監視機能が落ちてしまう恐れがあります。社外取締役の人材をいかに増 やしていくかも大きな課題と言えます。(waka)