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11月 7日

温暖化対策「米抜き」進む 米、パリ協定離脱通告 民間では取り組み加速 日本は再エネ普及に遅れ (11月6日付朝刊 3P総合2面)

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 11月6日付朝刊で、世界の地球温暖化対策の最新事情について大きく報じて いました。  近年は世界各国で、洪水や巨大台風、寒波や熱波などの異常気象が多発して います。日本列島も2019年秋、記録的な台風被害に見舞われました。異常気象 頻発の原因は明らかではありませんが、世界気象機関(WMO)は温暖化ガスの 増加による長期的な地球温暖化の傾向と関係があるとしています。

 地球温暖化対策を世界的に推進する会議体として、国連気候変動枠組み条約 締約国会議(COP)があります。15年12月に開催された第21回会議(COP21)で、 20年以降の国際的枠組みとして「パリ協定」が採択されました。途上国を含む あらゆる国・地域が参加したことが大きな特徴です。今世紀後半に温暖化ガス の排出量を実質ゼロにすることを目指しています。2大排出国である中国と米 国が早期批准に動き、16年11月に発効しました。

 当時のオバマ米大統領が温暖化防止に積極的だったのに対し、トランプ氏は 自国の石炭・石油産業への配慮から、大統領就任前からパリ協定には批判的で した。大統領就任後の17年6月に協定からの離脱を表明。このほど11月4日に離 脱の方針を改めて国連に通告しました。20年11月に行われる米大統領選をにら んだ選挙対策の色彩が強いと見られます。

 米国の離脱により、協定の形骸化が懸念されていましたが、今回の記事で伝 えているように、各国は米国抜きでの温暖化防止体制づくりを進めています。 すでに欧州連合(EU)は、50年の温暖化ガス排出を実質ゼロにする方向で加盟 国間の調整を進めています。地球温暖化対策を十分にとらない国に対し輸入関 税を引き上げる「国境炭素税」の導入を検討しています。

 世界最大の排出国である中国も、国際的な環境保全の機運を背景に、再生エ ネルギーの普及に力を入れています。また米国内でも、政権の意向とは違って、 カリフォルニア州のように環境規制に熱心な自治体もあるため、民間企業は対 策をせざるを得ない面があります。米アマゾン・ドット・コムが40年までに事 業から排出する温暖化ガスを実質ゼロにする方針を表明するなど、米国企業は 当面、環境対策を推進していくとみられます。

 米国の協定離脱が、中長期的に見て、温暖化防止の機運をどう左右していく かは今のところ未知数です。ただ近年は各国投資家たちの間で、「環境・社会・ 企業統治」の3つを判断材料に投資先を選別する「ESG投資」が重視されていま す。パリ協定の行方にかかわらず、環境対策に出遅れた企業は今後、投資家か らますます敬遠されるでしょう。日本の企業としても、こうした潮流の中でど れだけ実効性のある環境対策に取り組み、それを適切にアピールできるかが問 われることになります。(waka)