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11月21日

「IT巨人に危機感」 ヤフー・LINE来年10月統合 時価総額 米中勢と距離(11月19日付朝刊 1面、3P総合2面ほか)

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 11月18日、「ヤフー」を展開するZホールディングスとLINEは、2020年10月 に経営統合することで基本合意したと正式に発表しました。非常に大きなニュー スで、日経では正式発表に先立って14日付の朝刊で報じたほか、発表翌日の19 日付朝刊でも複数の紙面で報じていました。

 それぞれ検索サービスと対話アプリの有力企業です。ヤフーのサービス利用 者は5000万人、LINEの対話アプリの利用者は約8000万人に上ります。両者の統 合により、ネット通販や金融業など幅広いサービスを手がける巨大ネット企業 が誕生します。連結売上高を単純合計すると1兆1000億円超で楽天を抜き、国 内の主要なネット企業で首位となります。

 世界のネット市場では、先週このコラムで解説した「GAFA」と呼ばれる米大 手4社に加え、アリババ集団や百度(バイドゥ)、騰訊控股(テンセント)な どの中国勢が躍進しています。いずれも、各種のネットサービスや物販、決済 システムを総合的に手がける「プラットフォーマー」になることで、顧客を囲 い込んでいます。

 その結果、顧客の属性や購買行動など膨大な量のデータを、これらの有力企 業が集約することになります。それを人工知能(AI)などを活用して高度に分 析すれば、新商品・サービスの開発や販売促進などマーケティング活動に幅広 く活かすことができるので、競争優位性はますます高まります。

 ヤフーとLINEが統合に至った背景には、有力ネット企業による世界的な寡占 化に対する危機感があると考えられます。両社は日本国内では大手ですが、そ の規模は海外の巨大ネット企業に比べるとまだ小さく、グローバルな展開でも 出遅れています。経営統合によって資本力や顧客基盤を拡大し、データの分析 力や新サービスの開発力を高めていくことで、世界市場で米中勢に対抗してい く考えです。

 もちろん有力企業が経営統合したからといって、それだけで競争力が劇的に 高まるとは限りません。両社の持つ強みをベースに、どれだけの相乗効果を引 き出せるかが大きな課題です。また今回のニュースが、楽天やメルカリなど他 のネット企業の事業展開にどのように影響を与えるかも注目点と言えます。 (waka)