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1月30日

新型肺炎、中国の産業集積地に打撃 上海・蘇州で休業延長 世界の供給網に不安(1月28日付朝刊 1面、3P総合2面ほか)

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 ご存じのように、中国・武漢を中心に流行する新型肺炎の感染の拡大が続き、 日本を含む世界各国への影響が懸念されています。日経でも関連ニュースを連 日報じており、28日付の朝刊では経済・産業活動への影響について解説する記 事を1面ほかで大きく掲載していました。

 この日の1面記事でまず指摘していたのが、世界のサプライチェーン(供給 網)に及ぼす影響です。サプライチェーンとは、部品・原材料の調達から生産 管理、物流、販売まで、製品を供給するために必要なプロセス全体を指します。

 例えば自動車の場合、1台に約3万点もの部品が使われており、その供給のた めに数百社もの企業が関わっていると言われます。自動車をはじめ日本の多く の製造業では、無駄な在庫を持たず、それぞれが必要なタイミングで必要な数・ 量だけを生産・納入するという高度なサプライチェーンを築いてきました。こ れは日本のモノづくりの強みですが、在庫を持たないため自然災害などによっ て一部の部品の生産や輸送がストップしただけでも、サプライチェーンが寸断 され、完成品の生産が滞ってしまう事態が起こり得ます。東日本大震災の際に も、部品が調達できず自動車各社が減産を余儀なくされました。

 同様の事態が今回の新型肺炎の影響で起こりつつあります。感染の拡大を防 ぐため、中国政府は発生地である武漢市に対し事実上の交通封鎖を実施。さら に春節(旧正月)連休を延長する方針を決め、近隣の上海市や蘇州市などで地 元企業の稼働を休止させる措置がとられました。武漢市のある湖北省には、ホ ンダや日産自動車が生産拠点を置き、関連の部品メーカーも周辺に多く集積し ています。今回の措置が長引けば、生産計画の大幅な見直しを迫られる可能性 があります。

 もう1つ懸念されるのが、訪日消費への影響です。もともと日本は中国から の旅行先として人気が高く、春節休暇で多数の旅行者が訪れるはずでした。中 国政府が自国からの海外団体旅行を禁じたため、日本でも宿泊やレジャーの予 約キャンセルが相次いでいます。すでに1月28日に博多港に寄港予定だった中 国・天津発のクルーズ船(定員3780人)の寄港が中止となり、2月1日に横浜港 に寄港予定だったクルーズ船(定員1880人)もキャンセルに。今後も中国から のクルーズ船の寄港が減る可能性があります。中国人観光客の消費を想定して いたホテルや小売りなどにも影響が及びそうです。

 新型肺炎の感染拡大の防止と人々の安全確保が第一なのはもちろんですが、 日本の産業界に今後どう影響していくかも、引き続き注視していく必要があり ます。(waka)